ジワリ人気「福マルシェ」 生産者と消費者が近くてうれしい秘密とは

記事 INDEX

  • 地域に根付く交流の場
  • 「おいしい」がうれしい
  • 100年続くマルシェに

 福岡市近郊から野菜や果物、グルメが集まる「福マルシェ」が、福岡市中央区の鳥飼八幡宮で毎月第3日曜に開催されています。「生産者と消費者をつなぐ場を根付かせたい」。実行委員会メンバーにマルシェへの思いを聞きました。


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地域に根付く交流の場


前回のマルシェの様子

 福マルシェは2018年7月、生産者と消費者がじかに会える場所をつくろうと有志が企画。新型コロナウイルスが広がった昨年は4か月の中断を経て、出店者を減らすなどの感染防止対策を講じ、7月に再開しました。毎月訪れる常連は増え、着実に地域に浸透しています。

 実行委の境美希代表によると、販売される野菜や果物のほとんどはオーガニック。会場でのプラスチックごみ削減にも熱心に取り組み、紙袋を持ち寄るシェアバッグを始めました。境代表は「マルシェを単純に消費活動の一部にするのではなく、エシカル(倫理的)にしていきたい」と語ります。


プラスチックゴミ削減は食べ物のトレーにも


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「おいしい」がうれしい

 「生産者の顔が見え、農家としてのやりがいにつながる」。そう話すのは、初回から出店している福岡県久山町の農家・山辺信利さんと建介さん親子です。収穫作業に同行しました。

 マルシェの前日、山辺さん親子はキャベツやブロッコリー、ホウレンソウのほか、真っ赤な紅芯大根などを軽トラックいっぱいに収穫。建介さんは「農家の自分たちがおいしいと思える自慢の野菜。多くの人に食べてもらいたい」と言います。


山辺さん親子の畑でとれたニンジン

 親子は農家として野菜を生産するだけでなく、体験農園「久山ファーム」を運営。農業体験、食育にも取り組んでいます。

 山辺さん親子にとって、消費者の「おいしい」の言葉が何よりの喜びだそう。建介さんは「野菜の生産者や生産地、栽培法を消費者が意識すれば、消費のされ方も変わっていくのではないか」と考え、福マルシェの取り組みを支え続けています。


野菜を収穫する信利さん(左)と建介さん


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100年続くマルシェに

 境さんたちが福マルシェを思い立ったのも、久山ファームでの農業体験がきっかけでした。4年前に福岡に移住してきた境さんは「福岡に来て感じたのが、地域に関わろうとする市民の意識の高さでした。福岡のここが良い、ここが悪いという意見をそれぞれが持っていて、福岡への愛着を感じます」と言います。


境さんは「福岡市内5か所での開催が目標」とも語る

 昨年12月20日に開かれた前回のマルシェも、家族連れを中心に多くの人でにぎわいました。会場にはバンドの生演奏が流れ、サンタクロースやトナカイの格好をした境さんら実行委メンバーの姿もありました。

 生産者と消費者をつなぐだけでなく、出店者同士の交流も増えているそう。飲食のブースを出す人が、知り合った農家の食材を使って料理を提供するコラボが多く生まれています。「100年続くマルシェにしたい」。境さんたちの思いです。

 今月の福マルシェは17日、鳥飼八幡宮で予定されています。イベント詳細はこちら



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