北九州市産のホップでビールなどの製造、販売に取り組む「響灘ホップの会」は、ビールの製造過程で発生する「ビール粕(かす)」を使ったコッペパン「響ホップパン」を開発した。一般的なコッペパンより食物繊維が多く含まれているのが特徴で、将来的にはイベント会場を中心に販売する予定。市内の一部の小学校で試験的に給食として提供され、児童らからも好評を得ている。
「響灘ホップの会」が開発
同会は市内の地ビール会社や農家などがメンバーで、ホップを通じたSDGs(持続可能な開発目標)活動に取り組んでいる。これまでに地ビールやスイーツ、シャンプーなどを製造、販売。ホップは市民も参加して農園や学校などで栽培しており、今年度は市内11か所で約40キロを収穫した。
ビール粕は醸造する際に出る残りかすで、今回は1回の醸造で約200キロ発生。従来は廃棄していたが、同会が活用して新たな商品を生み出す「アップサイクル」製品の開発に取り組んだ。粉末状にしたビール粕をパン生地に練り込むことで、食感や風味は全粒粉のパンに近く、一般的なコッペパンと比べて食物繊維が2倍ほど多く含まれたパンが完成したという。
食物繊維2倍 給食で好評
10月12、13日には市内の小学校の一部で給食として提供。ホップ栽培に携わった市立くきのうみ小(北九州市若松区)では12日、児童らが味の違いを確かめながら味わっていた。6年の男児(12)は「ビールのように苦いのかと思ったけど、甘みがあっておいしかった」と笑顔で話した。
コッペパンを製造した「クラウン製パン」(同市小倉北区)常務取締役の松岡寛樹さん(37)は「子どもたちには、役目を終えて捨てるようなものも使い道があり、工夫すればこれだけおいしいものになることを知ってほしい」と話していた。