福岡県は、地域の子どもたちに食事を提供する「子ども食堂」の運営を支援しようと、ふるさと納税による寄付の募集を始めた。インターネットで寄付する仕組みで、目標額は800万円。寄付金で県産食材を購入して届けるという。子ども食堂は開設数が増える一方、物価高騰で食材の寄付が減少しており、関係者も「県産のおいしい食材を子どもたちに配れる」と期待する。
800万円を目標に
子ども食堂は地域のボランティアやNPO法人が運営し、無料や低額で食事を提供する取り組み。県によると、昨年11月時点で県内に281か所ある。貧困対策だけでなく、学生が勉強を教える学習支援や交流の場にもなっており、食堂の数はこの3年間で約2.5倍に増えたという。
5月中旬にスタートした「県こども食堂応援プロジェクト」は、ふるさと納税制度をつかったクラウドファンディング(CF)で実施。県産米や農産物などを購入し、「県こども食堂ネットワーク」(大野城市)を通じて、各地の食堂に届ける。
同ネットワークによると、子ども食堂で利用する食材は、企業からの寄贈でまかなわれているものも多い。ただ、物価高騰のあおりで企業が生産量を抑えているため、寄贈も減少。食堂などに食材を配る筑紫地区のフードバンクでは、2021年度の90トンから22年度は60トンに減ったという。
同ネットワーク事務局の副島広巳さんはプロジェクトについて、「非常にありがたい。県産食材のおいしさを子どもたちに知ってもらえ、県の産業振興にも貢献できる」と話す。
知事「温かい寄付を」
目標の800万円は、県内の子ども食堂でかかる年間経費のおよそ1割にあたるという。県は昨年度、物価高騰対策として食堂に1日あたり1000円を給付したが、服部誠太郎知事は5月17日の定例記者会見で「食材の調達コストや運搬費も含めて上がっている。皆様の温かい寄付をお願いしたい」と呼びかけた。
寄付は、CFサイト「ふるさとチョイス」のページからできる。返礼品はないが、2000円を超える部分は所得税と住民税の控除が受けられる。8月14日まで。寄付に関する問い合わせは県税務課(092-643-3063)へ。