福岡県糸田町にコーヒーを飲みながら語り合える「サードプレイス」(自宅、学校・職場以外の第三の場所)をつくろうと、町の地域おこし協力隊員が中心になって町内に営業日限定の「地域カフェ」を開設する計画が進んでいる。この夏以降に定期的に開店し、コーヒーなど飲み物を100円程度で提供しながら、地域づくりを考える場としても浸透させることを目指している。
豊かな地域づくりへの一歩
計画は、協力隊員の吉田裕史さん(50)が、コーヒーの歴史や文化に詳しい知人の元小学校教員・小野晴香さん(佐賀県唐津市)と協力して進めている。カフェの場所は協力隊の事務所として使用し、屋外のテラスもある町役場近くの多目的施設「いとよーきた」を想定。町内の湧き水で入れたコーヒーや紅茶、ハーブティー、ココアなどを、クッキーやチョコレートなどのお菓子と一緒に提供する構想だ。
来店者にはミルでコーヒー豆をひいたり、ペーパードリップでコーヒーを入れたりする体験をしてもらうことも検討。今年2月、同施設に小野さんを招き、地域カフェのプレイベントとして「いとよきカフェ」を開き、参加者7人にこの体験をしてもらったところ、「楽しい」「思ったより難しくない」といった感想が寄せられた。体験を通じて会話が弾む「体験型カフェ」としての魅力も、追求していくという。
計画の原型は17~18世紀のロンドンで多くの人が出入りし、情報を交換できる場として機能していた「コーヒーハウス」という。吉田さんによると、糸田町内にはカフェなど類似施設がなく、地元の中学生らから「町にカフェがほしい」との声が聞かれることも背景にあるという。
吉田さんは「外部からも気軽に人が訪れ、語らえる場所ができることで、地域に刺激が生まれる。多様な価値観が交わる『サードプレイス』をつくることによって、より豊かな地域づくりへの一歩を踏み出したい」と話している。