田川でお面の展覧会 教諭が自身と向き合い創作の30点 

 トランスジェンダーであることに悩み、生きづらさを感じてきたという小学校教諭の高津麦さん(福智町)が、自身と向き合う手段として創作してきたお面約30点の展覧会を、福岡県田川市のいいかねパレット1階・アーツトンネルギャラリーで開いている。


大小様々な作品が並ぶ会場。高津さんは舌を出した表情のお面を「一番気に入っている」と指さした

 お面は紙バンド(クラフトバンド)で作った骨組みに和紙をのり付けし、着色して完成させる。高津さんは母親が陶芸家で、子どもの頃から身近だった土をお面の顔料に用いている。

 女性として生まれ、幼い頃から女性として育ったが、生きづらさを感じてきた。お面作りは大学在学中に始め、「正体を隠したり、別の存在になりきったりするお面の役割や歴史を自分自身に重ね、問いかけながら作ってきた」と振り返る。卒業制作では全身が隠れる高さの作品を2点作り、今回の展覧会でも紹介している。


全身が隠れる大きさの作品を紹介する高津さん

 勤務する小学校では「自分の性別を意識せずに児童らと向き合えている」といい、会場には夏休み中の教え子らが次々に訪れる。展示を見た田川市の中学校講師は「内面にあるものを自然体で作品に投影し、人にエネルギーを与えている作者を、とてもかっこよく思える」と話した。

 高津さんは「性別にとらわれなくなって初めて、自分を好きになれた。作品の幅の広がりも実感している今が、すごく幸せ」と笑顔を見せた。

 8月20日まで、入場無料。開場は正午~午後6時。問い合わせはメールでNPO法人アーツトンネルへ。


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