北九州市小倉南区の文化記念公園に、「ぐるぐるおじさん」と呼ばれる男性がいる。同区の下田道雄さん(72)。60歳を過ぎて鉄棒を始め、前回りの最高記録は連続51回を誇る。8月27日には日本テレビ系列のチャリティー番組「24時間テレビ46 愛は地球を救う」に出演し、鉄棒技にチャレンジする。
定年後に練習開始 最高連続51回!
下田さんは鳥取県出身。神奈川県内の自動車メーカーで働き、約25年前、異動で北九州市に移り住んだ。60歳で定年退職後は、健康のために約1万5000歩の散歩を日課とし、半年後に通りかかった公園で四十数年ぶりに鉄棒をやってみた。しかし、前回りを1回しただけで目が回り、体がふらついたことで、心に火が付いた。
「なんでちゃんとできないのか、悔しい」。もともと凝り性で体操競技の本やテレビ番組で研究し、前回りの練習を繰り返した。半年間続けると連続で回れるようになり、3年間で27回に。年齢を重ねるとともに回数を伸ばして、69歳の頃には最高の51回に達した。1日の回転数を手帳に書き留め、この年は年間1万7000回を超えたという。
20歳代からアイススケートも続けているが、日々の鍛錬が「進化」の源だ。毎朝、柔軟体操や3分間の逆立ち、100回の腕立て伏せをこなす。60歳で80センチ近くあったウエストは、69センチに引き締まった。「鉄棒を始めてから風邪を引いたこともなく、行くのは歯医者ぐらい」。腰や肩に痛みもなく、駐車場の車止めでつまずいた時も転ばずに済んだという。
公園の鉄棒で週4回、ぐるぐると回り、ほかの技も練習する。その姿を見かけた人は思わず「わあ、すごい」と声を上げ、拍手を送る。「今日は何回、回るの?」と声をかけられ、子どもや母親から「逆上がりを教えてください」と頼まれることも少なくない。鉄棒に熱中する弟子のような存在もでき、下田さんは「子どもが『できたよ!』と喜ぶ姿がうれしい」と話す。
うんていの棒にぶら下がり、勢いを付けて飛び移りながら前に進んだり、高さ約2メートルの鉄棒から宙返りして着地したりと、新たな技も増やしている。ただ、手を滑らせて顔にけがをしたことがあり、新技に挑戦する時は徐々に難度を上げ、地面にマットレスを敷いて注意を払う。
下田さんは「妻には、くれぐれもけがをしないようにと言われている。年を取ってもコツコツやればできるので、子どもたちには色々なことに挑戦してほしい」と笑顔を見せた。
24時間テレビの出演時間は27日午前7時頃で、福岡から全国に生中継される予定。