九州観光機構が主催する「学生対抗九州観光ビジネスプランコンテスト」が12月9日、福岡市で開催されました。最優秀賞には、宮崎大学の学生7人のチームが提案した、まだ知られていない地方の観光地にスマートフォンのアプリで旅行者を呼び込むアイデアが選ばれました。学生らの優れた提案を実現するため、企業との連携も進められます。
"潜在観光地"に誘客
コンテストは、若者の発想を取り入れて、これまでにない観光施策を打ち出すとともに、将来の観光人材の育成を目的に開催されています。2回目の今年は、前年を上回る51チームが応募。9日は、1次選考を通過した10チームがプレゼンテーションに臨みました。
宮崎大のチームは、観光客の集中が地域の交通や環境に過度の負担をかける「オーバーツーリズム」が社会問題となっていることに注目。地元の人しか知らない魅力的な店舗や景観などを「潜在観光地」と定義し、旅行者へのアンケートから個々のニーズに合った情報を提供することで観光客の分散を図るアイデアを披露しました。
スマホの位置情報を使い、地域のみで使える割引クーポンなどを発行してお得感も加え、アプリの利用料や広告掲載料で収益を確保するとしています。
九州観光機構の唐池恒二会長(JR九州相談役)らによる審査では、社会問題に焦点を当てたことや、有名観光地ではないスポットへの誘客によって、九州全体のリピーター獲得にもつながる仕組みが評価されました。
リーダーを務めた地域資源創成学部の上船真希さんは「夜遅くまでチームで議論して考えました。ビジネス化に向けて企業にも相談しているので実現させたい」と喜んでいました。
ビジネス化に期待!
専門学校「イデアITカレッジ阿蘇」(熊本県南阿蘇村)は、増加する訪日客の一定数を占めるビーガン(完全菜食主義)を受け入れるため、阿蘇地域にビーガン対応レストランをつくり、地域のホテルや旅館への卸販売も手がけるプランを発表し、優秀賞に選ばれました。
佐賀県唐津市・呼子地区の空き家を活用し、ショールームにしたり、若手アーティストの拠点にしたりする福岡大の提案も高い評価を受けました。
審査員を務めた企業の幹部たちも、学生が真剣に考えたビジネスプランを前のめりで聞いていました。宮崎大のグループに対し、日本航空九州・山口地区の中原太支社長は「宮崎支店から(担当者を)行かせる」とラブコールを送りました。イデアITカレッジのプランには、阿蘇プラザホテルの稲吉淳一社長から「大きなビジネスになる。すぐに始めた方がいい」との声が出ました。
昨年の大会で佐賀大のチームが提案した、佐賀県内の焼きもの産地を巡って陶器の欠けらでブレスレットを作る周遊ツアーのアイデアは、旅行大手JTBとの連携でビジネス化の計画が進んでいるそうです。
機構は「プランで終わらず、実現につなげることが大事」とし、学生と企業の橋渡しにさらに力を入れる考えです。今年のアイデアがどのような実を結ぶのか、注目されます。