菅原道真を描いた「天神縁起絵」 小郡市で特別公開

2024.03.04

 学問の神様として知られる菅原道真の生涯や死後を描いた「天神縁起絵」の掛け軸2幅が、福岡県小郡市三沢の九州歴史資料館で特別公開されている。道真を祭る稲吉老松神社がある同市稲吉地区で代々受け継がれてきたもので、市埋蔵文化財調査センターが表装などの修繕作業を進めていた。同センター学芸員の大城麻未さんは「縁起絵には稲吉老松神社も登場する。この機会にぜひ見に来てほしい」と話している。

 天神縁起絵は掛け軸2幅にわたって描かれており、大きさはいずれも縦130センチ、横約56センチ。1幅には道真の幼少期から大宰府に左遷されて亡くなるまでの22の場面、もう1幅には、怨霊となった道真の祟(たた)りや、稲吉老松神社が建立されるまでの24の場面が登場する。


特別公開されている天神縁起絵の掛け軸(いずれも小郡市教育委員会提供)

 同センターによると、使われている顔料や、場面ごとに区切って描く技法などから、江戸時代末期~明治時代の作とみられるという。福岡県久留米市北野町の北野天満宮が所蔵する天神縁起絵と似ていることから、久留米藩の絵師が描いた可能性が高いと考えられている。

 2016年に稲吉地区の歴代区長が受け継いできたたんすの中から、縁起絵のストーリーが文章で書かれた巻物、松や梅を描いた掛け軸などと一緒に見つかり、19年に小郡市の有形文化財に指定された。

 掛け軸は表装が折れ曲がり、絵の一部で顔料がはがれるなどしていたため、県内の業者に依頼して22年から修繕を進めていた。費用約250万円は、地元住民の寄付や市の補助金などで賄ったという。

 大城さんは「子どもたちが親しみやすいよう、縁起絵の内容を塗り絵や紙芝居にして発信することも考えたい」と話している。

 特別公開は3月17日まで。開館時間は午前9時半~午後4時半で月曜休館。観覧料は一般210円、大学・高校生150円。問い合わせは、小郡市埋蔵文化財調査センター(0942-75-7555)へ。

レプリカ作成へ寄付募る

 小郡市稲吉地区の住民でつくる「稲吉老松神社天神信仰資料保存会」は、天神縁起絵の掛け軸のレプリカを作るため、クラウドファンディング(CF)などで寄付を募っている。

 縁起絵は現在、市埋蔵文化財調査センターで保管されており、普段は見ることができない。保存会によると、「縁起絵を見たい」と稲吉老松神社を訪れる人もいるため、原寸大のレプリカを作って神社で展示したい考えだ。

 目標額は200万円。返礼品として縁起絵の一場面を描いた記念絵馬などを贈る。問い合わせは、山田英昭会長(090-9605-6386)へ。


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