能登半島地震の被災地を支援しようと、福岡県大牟田市内の音楽家たちが5月12日、チャリティーコンサートを同市不知火町のひまわりホールで開く。呼びかけ人の声楽家、衛藤祥子さんは「被災地に希望を届けられるよう心温まる楽しいコンサートにしたい」と意気込んでいる。
衛藤さんが支援を思い立ったのは、能登半島地震で妻子4人を失った石川県警の警察官、大間圭介さんが、気丈に取材を受けている姿をテレビニュースで見たのがきっかけだった。「涙が止まらなくて。何か希望になるようなことができないか」と仲間の音楽家らに声をかけ、声楽、ピアノ、バイオリン、ハープの演奏で活躍する7人によるコンサートを企画した。
2023年10月、衛藤さんは高齢を理由に音楽活動の第一線から身を引くつもりで引退コンサートを開いていた。しかし、元日に発生した地震のニュースを見ながら、「引退するつもりだったが、この支援を最後だと思ってチャリティー音楽会を開こう」と決意したという。
衛藤さんは音大を卒業後、地元の大牟田に戻り、コンサートや音楽教室などの活動を半世紀にわたって続けてきた。大牟田音楽家協会の会長を務めた経験もあり、三池炭鉱閉山後、市内の芸術活動を支援する「花小径(こみち)の会」を結成して街の活性化に尽力した。
コンサートは午後2時開演。市内の画家、梅﨑弘さんと「桜秋窯」の陶芸家・衛藤秋久さんによる作品の販売もある。入場料1500円。売り上げから経費を除いた全額を寄付する予定で、衛藤祥子さんは「寄付先は大間さんと相談して決めたい」としている。
被災地支援のコンサートは、今回を手始めに計5回ほど開催したい考え。衛藤さんは「私ができなくなっても、きっと仲間が続けてくれると思う」と話す。
問い合わせは、花小径の会(0944・53・3175)へ。