海女漁を縁に、能登半島地震で被災した石川県輪島市海士町(あままち)へのピンポイント支援を続けている宗像漁協の漁師らが6月15日、福岡県宗像市鐘崎の漁協施設で募金箱50個を作った。世界遺産の宗像大社や道の駅むなかたなどに設置し、7月から少なくとも3年間、復興への義援金を募る。
海士町のルーツは宗像
「日本海沿岸の海女発祥の地」とされる筑前国鐘ヶ崎(現在の鐘崎)の男女13人が約450年前、能登へ上陸。漁期だけ滞在する季節移動を経て定住したのが、現在も多くの海女が暮らす海士町のルーツとされる。
「輪島の海女漁の技術」は国の重要無形民俗文化財に指定されているが、地震による海底隆起で船を出せなくなるなど、甚大な被害を受けた。宗像漁協の八尋時男代表理事組合長らが4月に海士町を訪れ、寄せられた義援金466万3793円を自治会へ贈った。
15日は、漁師、大社の神職、巫女(みこ)、市職員など約30人が参加。宗像市内の材木店が無償で提供したスギの部材に穴を開け、くぎを打った後、「鐘崎の海女たちが移住した海士町への復興にご協力をお願いします」とデザインされたシールを貼り付け、高さ30センチの募金箱を完成させた。
八尋組合長は「どれだけ年月がかかるか分からないが、少しでも早く漁に出られるよう支援を続けていきたい」と語った。