ワンヘルス推進へ行動計画 みやま市が全国で初めて策定

 福岡県みやま市は、行政と企業、市民が協働して「ワンヘルス」を推進するための行動計画(2024~28年度)を、全国の市町村で初めて策定した。同市には2027年度に県のワンヘルスセンターが開設される予定で、行動計画では「健康と命を守る」「環境保護」など七つの基本方針を掲げ、ワンヘルスによるまちづくりを目指す。

「ワンヘルスセンター」27年度に開設


みやま市に整備されるワンヘルスセンターの完成予想図(提供:福岡県ワンヘルス総合推進課)

 ワンヘルスは、人と動物の健康、環境の健全性を一体的に捉え、守っていく考え方。県は20年12月、全国初のワンヘルス推進基本条例を制定。同市の保健医療経営大跡地に「ワンヘルスセンター」を整備する。県の取り組みを受け、同市も21年9月、全国の市町村で初めて「ワンヘルス推進宣言」を行った。

 センターには、人の健康と環境保全に関する調査・研究を行う「保健環境研究所」が移転するほか、家畜やペット、野生動物などの保健衛生を一元的に担う「動物保健衛生所」、ワンヘルスの体験学習ゾーンが設けられる。

 行動計画では、「健康と命を守る」「動物との共生」「食育・地産地消」「市の魅力向上」などの基本方針ごとに具体的な取り組みを定めた。

「ワンヘルスツーリズム」創出など

 健康と命を守る取り組みでは、▽新型コロナウイルスの次の人獣共通感染症に備えた医療体制の確保、地域医療の維持に向けた地元医師会との連携▽薬剤に対する市民の正しい理解と適正利用の促進――などを盛り込んだ。

 動物との共生、食育・地産地消、市の魅力向上では、▽アニマルセラピーの活用▽生ごみ資源化事業の推進▽ワンヘルスセンターや関連事業所などを巡るコースを設け、観光ツアーや視察に活用してもらう「ワンヘルスツーリズム」の創出――などを挙げている。

 また、計画を点検・評価するための指標として、27年度の数値目標を設定。特定健診受診率50%(22年度34・1%)、狂犬病ワクチン接種届け出率70%(同50%)、生ごみ・食品廃棄物の年間資源化量2364トン(同1824トン)、ワンヘルス宣言事業所数200(同18)などとした。

 松嶋盛人市長は「ワンヘルスを通じて命の大切さや環境について学ぶことで、市の未来を担う人材を育てたい。(市がすでに実施している)エネルギーの地産地消や資源循環の取り組みをさらに推進していく」と話している。


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