九州芸文館(福岡県筑後市)総支配人の本田雅紀さん(67)が、廃線となった旧国鉄矢部線の黒木駅周辺と、旧佐賀線の昇開橋周辺を再現したジオラマを制作した。7月27日から同館で始まる企画展「動輪の軌跡とNゲージ鉄道模型博」で展示する。本田さんは「ジオラマは可能な限り精巧に再現した。筑後地区の鉄道の歴史を知ってもらいたい」と話している。
本田さんは熊本県人吉市出身。旧国鉄に入り、熊本鉄道管理局や民営化後のJR九州で営業職を中心に勤務した。その後、2013年に九州新幹線筑後船小屋駅前に開館した九州芸文館の運営に携わってきた。
同年秋、鉄道イベントを同館で開催。羽犬塚駅(筑後市)―黒木駅(福岡県八女市)間の19.7キロを結んだ矢部線(1985年廃止)沿線の写真を紹介したり、黒木駅周辺の風景を再現したジオラマと150分の1サイズの鉄道模型を展示したりした。
14年には、佐賀駅(佐賀市)―瀬高駅(福岡県みやま市)間の24.1キロを結んだ佐賀線(87年廃止)について調べ、昇開橋周辺のジオラマを制作した。
同館では毎年、鉄道イベントを開いてきたが、今年は福岡市に九州初の鉄道路線が開通して135年、西鉄天神大牟田線が開業して100年の節目に当たることから、ジオラマを作り直すことなどを決めた。
黒木駅周辺のジオラマは、新たに見つけた矢部線廃止前の写真を参考に、駅舎や飲食店、神社などを再現。専用の工具を使ってウレタンや発泡スチロールを削り、店の看板は自分でデザインを考えて縮小コピーを繰り返した。駅舎の背景には、ミキサーで砕いたスポンジに着色して作った山々とダムを配置した。
昇開橋は、船が通行できるよう橋桁を可動式にし、筑後川に浮かぶ船や周辺の水田も再現した。ジオラマの周囲には、それぞれ1周約10メートルのNゲージ線路が敷かれ、模型列車が走る。
筑後23路線の資料集も販売
筑後地区では、木工業や石炭産業の輸送手段として鉄道が発達し、明治、大正、昭和にかけて
本田さんは「路線の多さに驚いた。資料と企画展は年配者には懐かしく、若い人には時代背景を理解しながら楽しめる内容となっている」と話す。
入場料は中学生以上300円、小学生150円、未就学児は無料。7月29日と8月5、13日は休館。問い合わせは九州芸文館(0942-52-6435)へ。