JR門司港駅周辺で出土した初代門司駅の関連遺構を巡り、ユネスコ(国連教育・科学・文化機関)の諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」が、北九州市が現地で計画する複合公共施設整備事業の再考を求める「ヘリテージ・アラート」を発出したことを受け、武内和久市長は9月5日、「市民の安心安全を第一に考えて対応する」と述べて整備事業を進める方針を改めて強調した。
イコモスのアラート発出を受けて
市役所で報道陣の取材に応じた武内市長は、アラート発出を「文化財の保存、保護に関わる立場からの大切な意見として受け止めている」と述べる一方、複合公共施設に集約する区役所などに触れ、「耐震性やバリアフリーも十分でない。議論を積み重ね、適法適切にプロセスを踏んできた。この課題は待ったなしとの認識の下で(整備を)進めていく」と語った。
遺構は機関車庫の基礎などとみられ、市は当初、一部を移築保存する方針だったが、市議会が3月、予算案から移築費を削減する修正案を可決。これを受け、市は追加の発掘調査と記録保存を行った上で今年度中に施設整備に着手する方針を示し、市議会も6月の定例会で容認した。市は4日、複合公共施設の工事の入札を公告した。