糸島の海や緑の美しさを映画で伝える 5月4日に上映会

 福岡県糸島市在住の映画監督で、日本経済大准教授の濱洋一さん(62)が同市の離島・姫島を舞台にした映画「猫の魔法とワダツミの悪戯」を制作した。糸島を舞台にするのは2作目で、「糸島の海や緑の美しさをもっと多くの人に知ってもらうきっかけになり、福岡のクリエイターを育成する一助となれば」と話している。


糸島を舞台に2作目の映画を制作した濱さん


作品で地域に恩返し


 濱さんは長崎県佐世保市出身。第一経済大(現・日本経済大)を卒業後、音楽家となった。歌手の中島美嘉さんらに楽曲を提供してきたほか、映像作家としても活動してきた。

 2015年に糸島に移住。22年に「自然が豊かな糸島の魅力を伝え、地域に恩返しするとともに、映画作りを通じて、福岡で映像や音楽制作、俳優など芸術に関わる人を育成したい」と考え、「糸島映画製作所」を設立した。貯金やクラウドファンディングで集めた寄付金、地元の協賛金などを元に映画作りを始めた。日本経済大芸創プロデュース学科で、学生らに映像や音楽作りなどの指導もしている。

 同年に制作した1作目の「猫の記憶」は、糸島市を舞台に、女子高生が過去の記憶に残る猫の行方をたどりながら、自らの出生について知る物語だった。

 今作は姫島が舞台。兄を亡くしたショックで不登校となり、島の民間学校「オルタナティブスクール」に移ってきた女子高生が、突如現れた兄の幽霊や島の神様と接する中で成長する姿を描いている。学生らを姫島に流された幕末の女流歌人、野村望東尼になぞらえたという。

 俳優は、オーディションなどを通じて福岡にゆかりのある人たちを集め、これまで演技の経験がほとんどなかった高校・大学生も出演している。撮影は10日間かけて行われ、美しい海岸線の景色のほか、島にすみついている多くの猫も登場する。撮影中も猫がカメラに映り込み、出演者の足をしっぽでくすぐる不測の事態もあったが演技を続け、そのまま作品に使われたという。


上映される映画「猫の魔法とワダツミの悪戯」


 脚本、音楽、撮影全てを担当した濱さんは「困っている人のところに神様がそっと現れ、手助けしてくれればいいなと思いながら作品を撮った。島の自然の美しさや猫のかわいらしさだけでなく、福岡にこんな魅力的な役者がいるということを見て感じてもらいたい」と話す。


 映画の上映会は5月4日午後0時半から、福岡市中央区六本松の福岡市科学館サイエンスホールで行われる。事前予約は大人3000円(当日3500円)、小学生~大学生は1000円(当日も1000円)、未就学児は無料。糸島映画製作所のホームページから申し込みができる。他の場所での上映会も検討している。

 濱さんは今後も映画作りを続ける予定で、「上映会や撮影に興味がある方はぜひホームページなどを通じて連絡してほしい」と話している。


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