福岡藩の刀工として活躍した「信国」一派の名刀を集めた企画展が福岡市博物館で開催されている。南北朝時代から幕末頃までの刀、脇差など約20点が並び、優れた意匠を鑑賞できる。6月15日まで。
刀や脇差 優れた意匠20点
信国の初代は南北朝時代に京都で活動し、室町時代に子孫が豊前国宇佐郡(現在の大分県)に移住し、名字として名乗るようになった。一派はその後、黒田如水に仕え、黒田家が筑前国(福岡県)に移封されると、付き従って移住した。
江戸中期の信国重包(正包)は、幕府による調査で全国屈指の名工の一人に選ばれ、8代将軍・徳川吉宗に一葉葵の紋を茎(柄に覆われた持ち手部分)に刻むことを許された。正包の脇差は一葉葵とともに、刃文に精巧で丹念な鍛錬の痕跡ともいえる小沸(粒状の点)が確認できる。
孫の茂包は、刀剣の茎に「京信国十七世之孫」と刻んでおり、ルーツである京都への強い誇りをうかがわせる。堀本一繁学芸員は「姿、反り、刃文それぞれの美しさをじっくり鑑賞してほしい」としている。