【大分】牡蠣ー1グランプリで佐伯の養殖会社が日本一に
大分県佐伯市・大入島のカキ養殖会社「新栄丸」が、東京・豊洲市場で3月下旬に開かれた養殖カキのおいしさを競うイベント「全国牡蠣(かき)-1グランプリ2025」に初出品し、「加熱用の部・蒸し牡蠣部門」で最高金賞のグランプリに輝いた。県勢初の快挙で、同社の関係者は「大入島の自然に育まれた味が評価された」と喜んでいる。
「加熱・蒸し」で最高金賞に輝く
全国のカキ養殖業者らでつくる一般社団法人・全国牡蠣協議会(事務所・広島県江田島市)が、国内のカキ産業を盛り上げ、品質向上と消費拡大を図ろうと昨年始めたイベントで、今回が2回目。
今回は19都道府県から68の生産者や企業が参加。審査はカキの種類や養殖方法別に味の良さをトーナメント形式で競う「生食用の部」と「加熱用の部」が各3部門、大きさや殻の形の美しさ、パッケージなどの創意工夫を評価する「バラエティの部」が4部門の計10部門で、それぞれ最高金賞1団体を決めた。
豊洲市場関係者やカキ愛好者らが試食して投票する3月22日の予選を通過し、23日の決勝では都内の有名レストランのシェフやホテルの元総料理長ら5人の審査を受けた。
新栄丸は、カキの餌となるプランクトンが豊富な豊後水道に浮かぶ大入島で、2019年から独自のブランドカキ「大入島オイスター」を養殖している。同社が出品した「加熱用の部」のマガキ・シングルシード(海面に浮かべたかごで稚貝を育てる方式)部門では、はっきりとした濃いうまみが評価され、決勝では5人中4人が同社のカキに投票した。
同時に出品していた「生食用の部」のマガキ・シングルシード部門でも銀賞を受賞した。
大入島オイスターは海外でも人気といい、今年2月~来年3月で、前年より30万個多い100万個の出荷を見込んでいる。
過疎化に歯止め!環境保全も
同社の宮本新一社長は、故郷の島の過疎化に歯止めをかけたいと2018年に養殖を始めた。カキは赤潮の原因となるプランクトンを食べるため、海洋環境の保全にも役立っているという。
殻は乾燥させて粉砕し、県内の有機農家に肥料として格安で販売。カキ養殖者は当初、市内で同社の1か所だけだったが、産地化して雇用の創出にもつなげたいと、新規参入希望者に養殖技術を指導してきた。その結果、現在では市内4か所で養殖され、別の2か所でも試験養殖が行われている。
4月3日、佐伯市役所で受賞報告会があり、宮本さんは「佐伯のカキが日本一と言われるように、これからも頑張っていきたい」と抱負を語った。