【宮崎】猫の感染症検査に新手法 宮崎大と宮崎市が発表

 宮崎大と宮崎市は、人が使う市販のあぶらとりフィルムを使い、猫の感染症ウイルスを検出できたと発表した。マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」ウイルスなどを検出できたといい、注射針を用いた血液検査に比べ検査を受ける猫の負担軽減や、検査者の感染リスク低減につながる可能性があるとしている。

人用「あぶらとりフィルム」活用


あぶらとりフィルムで皮脂を採取される猫

 研究チームの斉藤暁・宮崎大農学部准教授らによると、あぶらとりフィルムで猫の耳から皮脂を採取し、SFTSウイルスと猫エイズウイルスの「RNA」をそれぞれ検出。血清由来の検査結果と比べてもウイルス量の推定などに活用する指標の値で大きな差がないことも確認できた。あぶらとりフィルムで採取したヒトの皮脂からRNAを検出する花王の研究を参考にしたという。

猫の負担軽減 人のリスク低減にも期待

 SFTSは主にウイルスを持ったマダニに刺されることで感染する人獣共通の感染症。猫からヒトにも感染するとされ、9月3日、宮崎市で記者会見した斉藤准教授は「血液を採取すること自体がリスクになる。数値情報を得るには血液検査が必要だが、動物愛護センターのようにたくさんの猫がいる施設では比較的簡単に採取でき非常に有用」と話した。今後、検体を増やすなどし、有効性をさらに検証する。成果は3日、宮崎市であった日本獣医学会学術集会で発表したという。

 研究に携わった同大農学部3年の福嶋優莉さんも「少しでも多くの人と動物の健康を守る一助になればと思っている」と述べた。

 県によると、県内のヒトのSFTS報告数は、届け出が始まった2013年3月以降、累計120件(8月24日現在)。


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