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厄をはじいて福を呼び込む――。そんな願いを込めた縁起物が福岡県糸島市で作られていると聞き、前原商店街にある「天平工房」に向かいました。この「縁起おはじき」を制作しているのは小田謙二さん。「日展」でも数々の受賞歴を持つベテランの博多人形師です。作業の様子を見せてもらいながら、話を聞きました。
博多人形師に弟子入り
物心つく頃から「人の顔」を描くのが大好きだったという小田さん。精巧かつユーモラスな作風で愛されたアメリカの画家ノーマン・ロックウェルに憧れて、デザインの学校へ。イラストレーターを志しますが、まわりのレベルの高さに圧倒され、自信を失ってしまいます。
それでも、ものづくりに携わりたいという思いは変わりませんでした。23歳で一念発起し、博多人形師に弟子入り。住み込みで、人形の世界を基礎から学びました。
豊かな表現で魅了する
天平工房の2階は、そんな小田さんが情熱を注いだ人形が並ぶギャラリーです。
博多人形といえば、スラリとした静かな曲線美を思い浮かべますが、小田さんの作品は躍動的で、いまにも動きだしそうな生命力を帯びています。
人形がたたずむ"場面"を映画のワンシーンのように想像し、時代背景や人物像、衣装、感情に至るまでを考え抜くのだといいます。資料や文献を調べ尽くし、長い時間をかけて構想を練りますが、目指す"世界観"が定まると制作はスムーズに進んでいくそうです。
作品によって、ガラリと雰囲気が変わるのも特徴的です。「人形の顔から人形師を判別して、ブランド化する傾向もあるんだけど、テーマが違うのに同じ顔なのは違和感がありますね。作品によって雰囲気が変わるほうが自然だと思うんです」
福いっぱいの新年に!
そう語る小田さんが7年前から取り組んでいるのが「縁起おはじき」。子どもの健やかな成長を願う郷土玩具のルーツに触れ、地域の風物詩になればと思い、制作を始めました。毎年10種のデザインが登場し、多くのファンが新作を心待ちにしています。
制作が佳境を迎える12月は、毎朝4時から日暮れまで、年内いっぱい作業が続きます。小田さんの指先で絵付けされていくのは、新年の干支「寅(とら)」にちなんだ虎や「門松」、七福神の「毘沙門天」など。「白狐(きつね)」や「ひょっとこ」にはコロナ収束への願いを込め、地震が起きないようにと「ナマズ」も作りました。
人形の世界に飛び込んで40年あまり、「飽きたことは今まで一度もない」と話します。「見た人が喜んだり、アッと驚くような作品を作るのが好き」といたずらっぽく笑い、ものづくりと向き合う時間をなによりも楽しんでいるようでした。
「縁起おはじき」は1セット3800円(税込み)です。工房で予約を受け付けているほか、元日から3日間は近くの老松神社でも販売します。
名称 | 天平工房 |
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所在地 | 福岡県糸島市前原中央3-9-30 |
電話 | 092-323-0975 |