別府の「ぬくもり」を自宅で楽しんで! トラックで届くお土産が話題に
プロが適温で
温泉を運ぶのは、2トンの保温タンクを二つ積んだトラックです。タンクに温泉を入れ、ハンドルを握るのは、大分県内を中心に足湯サービスなどを手がける「TAMAYA」(大分市)の松田紀満さん。給湯するときにちょうどいい温度になるように大量の湯を運ぶには熟練の技が求められます。移動が長時間、長距離になるほど湯の温度は下がってしまい、逆に高すぎると源泉100%で楽しむことができません。
温泉を運んで4年の松田さんは、年間5万キロ以上をトラックで走行します。「季節によってタンクの保温状態は変わります。何日かけて何件に配達するのかをしっかり把握したうえで、タンクに入れる温泉の温度を調整します」と話します。
データを取って最適の温度を出しているわけではありません。配送先までの距離、外気温などを計算し、温泉を年中運んでいる松田さんだからこそ分かる「勘」で、くみ入れる湯温を調整しているそうです。「1件の配達が終わればタンクには空気が入る。トラックで走ると湯が空気に触れてさらに温度が下がる。その分も計算に入れています」といいます。
10月28日の配送では、温泉は50度前後。かなり熱いですが、昼過ぎに給湯して夕方まで待つと、ちょうどいい湯加減になるのだそうです。
ユニークな事業を支える裏には、熟練の技がありました。松田さんは「別府に行きたくても行けない人に温泉を届け、特別感を味わってもらえるのがうれしい。普段入っているお風呂だからこそ、水道水と温泉の違いをより感じてもらえると思う」と語ってくれました。