かわいすぎて… 超絶リアルなわんちゃんのスイーツが話題に

「かわいいけど、リアル過ぎて……」と話題のチョコレートムース

記事 INDEX

  • 試作を重ねた末に完成!
  • 人を笑わせるのが大好き
  • 店の内装も個性たっぷり

 「リアル過ぎて食べるのが怖い!」「でもおいしそ~」――。ブルドッグをモデルに作った本物そっくりの「わんちゃんのチョコレートムース」が話題だ。独創的なスイーツで注目を集めるのは、福岡県久留米市にあるカフェ「DDD.coffee」。見て楽しく、食べておいしく、SNSでは「行かなきゃ損!!」といった言葉が飛び交っている。

試作を重ねた末に完成!


カフェを切り盛りする伊藤大貴さん(右)と千佳さん


 店を営むのは、人を笑わせるのが大好きという伊藤大貴さん(36)と千佳さん(34)の夫婦。大貴さんは18歳から8年ほど、お笑い芸人として九州を中心に活動していたそうだ。お笑いの道に区切りをつけた夫とパティシエの妻のコンビで移動販売を始め、5年間コツコツと貯めた資金を元手に2020年秋、念願のカフェを住宅街に開いた。


鼻と肉球の部分にチョコレートソースをつけて完成!


 商品のアイデアは大貴さんが出し、調理は千佳さんが担当する。わんちゃんのムースも遊び心から生まれた。毛の色や質感などをどのように表現すれば、大貴さんの発案をカタチにできるのか――。なかなかうまくいかず、一度は挫折した千佳さんだが「どうしても実現したい」と200匹ほどを試作した末、昨年秋にようやく完成した。


お客さんの反応を厨房で共有するそうだ


 反響は期待以上。注文を受け、商品をテーブルに運ぶ途中で「来たよ! 来たよ!」と席がざわつくのが分かるという。店のどこにいても、お客さんの様子は必ず確かめる。「とても喜んでくれたよ」「へー、うれしいねぇ」。厨房(ちゅうぼう)では、そんな会話が交わされ、客席の反応を夫婦で共有しているそうだ。


外見だけでなく、中身にも味にもこだわりが


 外見だけでなく、中身にも妥協はない。わんちゃんにフォークを入れると”体内”からストロベリー系の赤いジュレが。「グロテスクという声もあるけれど、中にもしっかり情熱を込めていることを感じてもらえたら」と千佳さんは話す。


5歳の女の子も「おいしい」と満足そう


 店内では、わんちゃんのムースを口に運ぶ笑顔がいくつも見られる。正午の開店と同時に母親と訪れた高校生の吉牟田紗(すず)さん(17)もその一人。自宅でブルドッグを飼っており、初めは「食べるのがかわいそう」とも思ったが、濃厚なチョコレートの味にはまり、「おいしい!という気持ちの方が勝っちゃいました」と笑う。


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人を笑わせるのが大好き


 わんちゃんの登場まで、カフェの営業を支えていたのは「アニメに出てくるチーズケーキ」。まだ客足が少なかった頃、店の看板商品を作らねばと、韓国のカフェのメニューを参考に開発した。


濃厚でなめらかな口当たりのチーズケーキ


 仲良しのネコとネズミがストーリーを繰り広げる、あの懐かしいアニメ作品に登場するチーズにそっくりで、「映える」「かわいい」と人気が爆発。多い日には400個ほどが売れるヒット商品に育った。


子どもの頃に見た、あのアニメに出てくるような……


 「売り切れた際に、お客さんの残念そうな顔を見るのがつらかった」と振り返る大貴さん。チーズケーキを楽しみに来てくれる人をがっかりさせたくないと、店に寝袋を持ち込み、千佳さんと交代で準備する日が続いたそうだ。


カワイイよりもブサイクをイメージ


 “異彩”を放つメニューはほかにも。素朴な顔を表面に描いた「がんめんフラッペ」はグループ客に特に喜ばれる。その顔面は”カワイイ”よりも記憶に残る”ブサイク”を重視してデザインし、男の子、女の子、坊主、おじさんの4種類がある。細かい作業で手間はかかるものの、客席で上がる笑い声を聞けば苦労も報われるという。


「提供した時の表情は必ず確かめています」


 抹茶やほうじ茶など味の注文はできるが、どの顔が出てくるかはお楽しみ。店側の選択に対する客席の反応は果たして――? 「どんな表情を見せてくれるだろうか、そんなことを考えながら作っています」と千佳さんは話す。


型を作るのが大変で10回ほど作り直したそうだ


店の内装も個性たっぷり


 店の内装も「インスタ映えする」と好評だ。店内には「幸せな世界」をテーマに黄色に彩られた空間があり、人気の撮影スポットになっている。入り口近くの鏡は魚眼レンズのような半球体で、建設現場で使われるものを探し出して壁に掛けた。


奥に細長い店舗内に設けた黄色一色のスペース


 あふれるアイデアの背景には、東南アジアや中国、韓国、台湾など、2人で楽しんだカフェ巡りの経験がある。「こんな店が地元にあったらいいね」。旅先で受けた刺激や交わした会話が、現在の店づくりやメニュー開発のヒントになっているそうだ。


収監されているようにも見える厨房。フィリピンで見た売店にヒントを得た


 次はどんなスイーツを考えているのだろう――。 大貴さんに尋ねると「がんめんフラッペを立体的にできないか」と模索しているという。お客さんが喜ぶ姿を想像しながら、二人三脚で新しい商品づくりに向き合う。そんな2人の笑顔が輝いて見えた。


お客さんが見せる反応を楽しみにしながら、二人三脚が続く



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