市民に身近な「お役所」に! Z世代の北九州市職員が奮闘中
「Z世代課」を新設するなど若い世代の支援に力を入れている北九州市で、1990年代半ば以降に生まれた自らもZ世代の若手職員らが、さまざまな方法で地域の魅力を発信しようと奮闘している。職員は「若者ならではの発想で、行政への市民のハードルを下げられたら」と意気込む。
「小倉推し」になって!!
「北区一の新婚さん 誕生」「へそくりは家族のために」「脱ぎっぱ(なし)厳禁」――。小倉北区役所1階の東玄関脇。存在感を放つパネル(縦約2メートル、横約3.5メートル)に、「お役所」のイメージとは程遠いフレーズがいくつも並ぶ。
約30種類のフレーズは来庁者にクスッと笑ってもらおうと、あえて砕けた表現ばかりを用意した。2023年度に採用された同区役所の若手職員ら15人でつくるプロジェクトチーム(PT)が年明けから企画を考え、5月、フォトスポットとして設置した。
市民が区役所を訪れる機会は結婚や出産、転入といった手続きがほとんど。パネルには、主に新婚夫婦や子どもが生まれたばかりの人に「小倉北区での楽しい未来を思い浮かべてもらいたい」という願いを込めた。
足元には「小倉城天守閣にのぼった」「旦過(たんが)市場でちょいのみをした」などと記した8枚のマットも。ゲームのようにクリアしていく感覚で、小倉の生活を満喫してもらおうと作成した。
PTメンバーで総務企画課の広藤菜緒花さん(25)は「自分の仕事が市民の目に見える形になる体験はまだ少ない。いい経験になっている」と話し、「多くの人に『小倉推し』になってもらえるよう、若者の視点を大事にして行政に感じる壁を少しでもなくしていきたい」と語る。
若い感性でPR動画
八幡西区役所でも、20歳代の職員を中心としたPTが区内の魅力を紹介する動画を作成し、4月中旬から市のホームページやユーチューブの市公式チャンネルで配信している。
動画は約10分間で、区内の名所やイベントを「歴史・文化」「自然」「夜景」などのジャンルに分けて紹介。黒崎地区の夜景やイルミネーションは、デジタルに慣れ親しんだ若手職員の提案により、連続撮影した静止画をつないで早送りした映像のように見える機能を使って昼から夜の風景への変化を表現した。
PTメンバーの島田道久さん(24)は「ドローンを用いるなど、幅広い世代に楽しんでもらえるよう意識した」といい、「今後も私たちに期待してくれる人を思い浮かべながら、Z世代ならではの発想で市の事業に貢献したい」と話した。