「いったん最後」天神のジュンク堂書店福岡店が6月末で一時閉店

ジュンク堂書店福岡店が営業しているビル

記事 INDEX

  • 再開発により6月末で一時閉店
  • 寂しい思いをノートで共有
  • 店員から「#最後のオススメ」

 九州最大級の品ぞろえを誇る「ジュンク堂書店福岡店」(福岡市中央区天神)が6月30日で一時閉店します。福岡市・天神地区の再開発「天神ビッグバン」に伴い、書店が入るビルが取り壊されるためで、再開発後の新しいビルでの再オープンを目指します。その間、代替店舗での営業予定は今のところありません。店では「いったん最後」の企画が行われ、ファンが店内に置いたノートに惜しむ声が寄せられています。


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1日に6000~1万人が来店

 ジュンク堂書店福岡店は2001年、福岡市役所そばの商業ビル「メディアモール天神」の1~4階にオープンしました。2011年には地下1階にも売り場を広げ、文具店やギャラリーも備えた大型書店として営業してきました。店によると、約6800平方メートルの売り場面積は、書店では国内屈指の規模だそうです。


ジュンク堂書店が入る「メディアモール天神」の入り口

 絵本から専門書まで幅広いジャンルを取りそろえ、その数は140万冊。近年は電子書籍やインターネット販売の普及により来店者は減少傾向ですが、1日に6000~1万人が訪れます。目当ての本を求め、福岡県外から足を運ぶ人も多いといいます。

 今ではすっかり浸透したジュンク堂ですが、出店の際は苦戦したようです。当時は売り場の担当だったという細井実人店長によると、「福岡で専門書が売れるの?」「ほかの大型書店がすでにあるのに?」という声が社内外で上がったといいます。納品に難色を示す出版社があり、商品が予定通りに集まらないこともあったそうです。


オープン時から店に携わってきた細井店長

 それでも、広い売り場と豊富な品ぞろえが次第に評判となり、客足は増えていきました。細井店長は「普段は売れない本が、社会情勢の変化で急に売れることもあります。『とりあえず置いておく』ことが大事で、それができる広さだったから受け入れてもらえたのかもしれません」と話します。


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「ジュンク堂が戻ってきますように」

 2019年12月に一時閉店を告知すると、店には問い合わせや惜しむ声が多く寄せられました。今も、閉店日を確かめる電話が複数かかってくるそうです。


一時閉店を知らせる店舗入り口の張り紙

 店員の心に沁みる出来事もありました。
 閉店を告知して間もなく、2階の文庫コーナーの片隅で店員が1冊のノートを見つけました。表紙に「一時閉店さみしすぎるだろ どうすりゃいいぜ」と記されたノートを開くと、何度も通った店への思いが書き連ねてあります。通常なら落とし物として扱うところですが、置かれていた場所にそのまま残すことにしました。


2階の文庫コーナーにひっそりと置かれているノート

 このノートは、福岡市内のデザイナー・山下陽光さんが「同じ思いをしている人がほかにいるかも」と置いたものでした。その存在は少しずつ知られ、「本に囲まれるの好きでした。また、ジュンク堂が天神に戻ってきますように」「今まで本の楽しさを届けてくれてありがとうございました!!」と、書き込みが増え続けています。

 山下さんは「本を直接手に取ることができる書店だからこそ、SNSではなくノートにじかに書いてもらおうと思いました。店内ですれ違ってきた人たちと、また会える場ができたらいいです」と話します。


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最後にこれだけは!

 閉店を前に、店では様々な企画が行われています。ツイッターでは1日1回、「#最後のオススメ」のハッシュタグをつけて、担当者の「イチ押し」の本を紹介しています。閉店100日前の3月22日に始め、本のストーリーや感想のほか、「一時閉店まで○日」とカウントダウンを添えてツイートしています。


2階に設けられた「最後にこれだけはオススメしたい!!」のコーナー

 ツイッターで紹介した本は、店の2階に特設した「最後にこれだけはオススメしたい!!」のコーナーに並んでいます。その傍らには、19年間の感謝を込めて「ありがとう」の文字を入れた店オリジナルの記念スタンプも。細井店長は「ブックカバーなどに押して『ここで買った』ということを覚えていてほしい」と呼びかけています。


これまでの感謝の気持ちを込めた記念スタンプ

 地下1階では、恒例の古本まつりが開催中です。10~14日の期間で年に数回行われてきましたが、今回は6月1日からの1か月間に延長し、掘り出し物を探す人たちでにぎわっています。細井店長は「お客さまと一緒につくってきたお店です。最後の瞬間まで、お客さまと一緒にいたい」と話しています。


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