ちいさな手に伝わるぬくもり 「福岡県産おもちゃ」であそぼう
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記事 INDEX
- おもちゃの木製キッチン
- 思うままに楽しめる演奏
- ハンデがあっても大丈夫
クリスマスが近付き、子どもたちがプレゼントを心待ちにする時期になった。福岡県内で生まれたぬくもりのあるおもちゃを紹介する。
おもちゃの木製キッチン
10月下旬、北九州市小倉南区の認定こども園「曽根ひかり幼稚園」で、園児たちが木製のおもちゃのキッチンを使っておままごとをしていた。キッチンの高さは50センチほどで、シンクや蛇口、コンロも再現されており、洗い物や料理のまねをして楽しんだ。
製作したのは同区の住宅工務店「サン友創作工房」。建築で出る端材の処分に頭を悩ませていたところ、社員で小学生の息子がいる林名菜子さんら子育て世代のスタッフが「おもちゃに生まれ変わらせたら」と発案したという。
2020年頃からキッチン(6600円から)のほか、レンジ、冷蔵庫、洗濯機などをミニサイズで模した木のおもちゃを販売し、蛇口をレバー式にするなどの注文にも応じている。一般家庭や保育園などから好評で、曽根ひかり幼稚園ではキッチンと人形用ベッドを購入。篠原美登里園長は「木の温かさを感じながらおままごとができて、情操教育に役立っている」と喜ぶ。
八女市の木工所「隈本コマ」は、おもちゃのボウリング(1万6500円)を生産している。ピン(10本)は高さ15センチ、ボールは直径8.6センチで、強度のある九州産の広葉樹を使っているため、ボールがピンに当たると「カコーン」と澄んだ音が響く。
隈本コマは九州の伝統的なコマを作る木工所で、100年以上の歴史がある。20年ほど前から木のおもちゃも手がけており、コマ作りのロクロ技術を応用して一つ一つ丁寧に研磨し、赤ちゃんがなめても安全な塗料を使っている。
安全性やデザインが評価され、14年には全国のおもちゃコンサルタントが選ぶ「グッド・トイ」を受賞した。代表の隈本知伸さんは「家族や友達と遊び、協調性も身につけば」と期待する。
思うままに楽しめる演奏
福岡市早良区の雑貨店「ペロル」は、ヨーロッパ発祥の弦楽器「ライア」を製造・販売している。ライアは木製の板に、多い物で約40本の弦が張られるハープのような楽器で、同店では弦を7本にした子ども向けの「ペロルライア」(3万7400円から)をオーナーの井手芳弘さんが手作りする。
ペロルライアはドとファがない5音階。不協和音が生まれにくく、子どもが思うままに演奏しても、きれいな旋律になるという。小さな手で奏でやすいよう、弦と弦の間隔を狭くした。
約20年前から本場・ドイツに足を運んで専門家から製造やメンテナンス方法を学び、自ら作るようになった。大人が弾いて聴かせても良く、井手さんは「今の時代は人工的な音を聴く機会が多い。本物の楽器の音に触れてほしい」と呼びかける。
ハンデがあっても大丈夫
福岡市城南区の「つみきや」では、色を識別しにくい子どもも遊べるカードゲーム「さくらのきのぼり」を販売している。1100円。
38枚のカードの山から順に1枚を取って、絵柄をつなぎ合わせて4種の木を作りあげるルール。幹の太さなどで4種を見分けられるようになっており、より多くの木を完成させた人が勝ちだ。
考案したスタッフの原田圭悟さんも、生まれつき緑色と赤色が識別しにくく、カードゲームは色で種類を見分けて遊ぶものが多いため、子どもの頃に苦労したという。「子どもたちに、ハンデを感じることなく楽しんでもらいたい」と話す。
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