チョコ風味やパン専用も! 想像を覆す「変わり種しょうゆ」

福岡県内で味わえる「変わり種しょうゆ」

記事 INDEX

  • 需要低迷の打開へ奮起!
  • アイスやパンのお供にも
  • 試して見つける自分好み

 煮付けや刺し身、汁物など、和食の味を支えるしょうゆ。そんなイメージを覆すような変わり種の商品が福岡県内で登場している。

需要低迷の打開へ奮起!

 明治29年創業の老舗「ヤマタカ醤油(しょうゆ)」(福岡市早良区)が製造するのは、チョコレート風味のしょうゆ「UMAMI SHOYU chocolate」(200ミリ・リットル、756円)。カカオの芳潤な香りが特徴で、ローストビーフやカレーとの相性がいいという。普段は米・ロサンゼルス近郊の飲食店やスーパーにのみ卸しているが、バレンタインデーに合わせて2月15日まで、オンラインショップと醸造所近くの直売所で販売している(70本程度)。


チョコレート風味のしょうゆをローストビーフにかけてPRする高田さん


 専務の高田晃太郎さんがチョコレートしょうゆの開発に挑んだのは2019年、ある老舗菓子店の創業者がチョコレート製造で再起を図るというドキュメンタリー番組をテレビで見たことがきっかけだった。しょうゆの需要低下に悩んでいた高田さんはその日の夜、チョコとしょうゆを掛け合わせる夢を見たという。夢から覚め、「何とか形にしたい」と奮闘。オランダ産のカカオパウダーを使用し、香りが立つよう試行錯誤を重ねて完成させた。


 社内での評判はいまいちだったが、取引先などへのPRを続けたところ、出張先のアメリカで高級レストランのシェフから「きっと流行する!」と太鼓判を押された。21年から本格的に輸出を開始。高田さんは「想像を覆す味。『なんだこれ』という感覚を味わって」と笑顔を見せる。


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アイスやパンのお供にも

 北九州市八幡西区の「ミツワ醤油」では、「アイスクリーム醤油」(200ミリ・リットル、486円)を販売する。しょうゆの風味を残しつつ、塩分を控えて甘みを強めているのが特徴で、バニラアイスやソフトクリームに少しずつかけるとキャラメルのような味になる。


バニラアイスなどにかけるアイスクリーム醤油


 製造を思い立ったのは4代目の刀根哲也さんの妻・えつこさんで、「3代目(故人)が高血圧だったため、元々塩分を控えた甘めのしょうゆが得意」と説明。「アイスによって、味わいも変わる。色々なアイスにかけて楽しんでほしい」と話す。


 宗像市の「ナカマル醤油醸造元」は「パンかけ醤油」(150ミリ・リットル、450円)を開発した。代表の永嶋多知(かずとも)さんは、以前からパンに自社のしょうゆをかけて食べていて、「万人受けする専用のしょうゆを造りたい」と思ったという。


焼いたパンに専用しょうゆをかけて


 砂糖類で甘さを増し、リンゴ果汁でフルーティーな後味を加え、メープルシロップのような味わいに仕上げた。お勧めは、バターを載せて焼いた食パンに、しょうゆをかける食べ方。「ジャムやバターに並ぶパンのお供になれば」と期待する。


試して見つける自分好み

 「福岡のしょうゆは甘い」とよく評される。福岡市・天神の「福萬醤油」社長で「醤油ソムリエ」として活動する大浜大地さんは、その背景について、江戸時代に長崎と小倉を結んで砂糖を運んだ旧長崎街道(シュガーロード)が県内を通っていることを指摘。砂糖が入手しやすい環境下で、しょうゆも甘くなっていったと分析する。「甘みを加える『ブレンド文化』が昔から根付いているため、現代でも珍しいしょうゆが生まれやすいのでは」と話す。


「好みのしょうゆを探して」と話す大浜さん


 同社では、店内に全国のしょうゆ200種以上を無料で試せる「しょうゆテイスティングバー」を設ける。合わせたい食材などによって、大浜さんが厳選して紹介。「福岡には醸造元が多く、選べる楽しさがある。ワインのように香りまで堪能し、好みのしょうゆを見つけて」と呼びかけている。


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