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記事 INDEX
- 日常の注意を五七五で
- ご当地カルタも続々と
- 時代のトレンドを反映
オリジナリティーにあふれる「カルタ」が福岡県内各地で誕生している。健康づくりに生かしたり、地域の歴史を学んだり。多様な使い方で親しまれている。
日常の注意を五七五で
「あらたいへん テレビの前が指定席」「車でね 5分の距離は歩きましょ~」
古賀市の「地域活動サポートセンターゆい」で、地域の詩吟仲間が「介護予防川柳カルタ」を楽しんでいた。
介護予防について、楽しみながら意識を高めてもらおうと市が2023年製作。濁音を含む62字について、職員らが日常で気を付けるポイントなどを川柳にした。
イラストのモデルは、高齢者の健康や生きがいづくりなどを担うボランティアの市民サポーター。担当した元職員の梅谷佐和子さん(65)は、「楽しみながら日常を振り返る機会になれば」と話す。カルタに挑戦した猿渡史彦さん(73)は「身近なことが五七五にまとめられていて、おもしろい」とほほ笑んだ。
ご当地カルタも続々と
地域の魅力を伝えたいと、郷土愛あふれるカルタも続々と登場している。
福岡市西区の今津校区自治協議会などが作成した「今津かるた」。2018年度に今津小の5、6年生が主体となって読み札を考え、文字やイラストは地域住民が手掛けた。
今津干潟のカブトガニや渡り鳥、国指定史跡・今津元寇(げんこう)防塁など、地域の自然や歴史が題材となっている。
同小は来年度、開校150周年を迎える。新調したカルタを全児童に配る予定で、同会広報委員長の有松宏さん(77)は「郷土愛を育み、地域の活性化につながればうれしい」と期待を込める。
直方市では6月に「直方歴史かるた」が完成し、カルタを解説する動画も公開。嘉麻市は「嘉麻かるた」を作成し、昨年度から小中学校などの授業で活用しているという。
時代のトレンドを反映
日本古来の1万3000点以上を収蔵する大牟田市立三池カルタ・歴史資料館によると、日本のカルタ文化は、平安時代からの貝殻を使う遊び「貝覆い」に、16世紀末に南蛮貿易で伝わったカード遊びが融合したとされる。
子どもが字を覚えるために「いろはかるた」が作られ、戦時中は軍事教育や戦意高揚に利用されてきた。現代も、遊びながら学べる教育ツールとして用いられている。
全国各地で毎年50~100種類が誕生し、近年は環境や防災、食育、感染症、情報セキュリティーなど分野も幅広い。梶原伸介館長(49)は「カルタには、その時代のトレンドが反映されている」と語る。
■課題解決にも一役
課題解決に「カルタ作り」を取り入れる例も。西部ガスやLINEヤフーコミュニケーションズなど8社とオブザーバーの福岡市による共同事業体「Fukuoka Smart City Community」は2月、「子育てしやすい職場」をテーマにした座談会を開催。社員約20人が集まり、悩みを書いた上の句に対して、下の句で解決策を考えた。
「緊急着信 子が発熱 会議と残務どうしよう」には「親は私たちしかいない!日頃から業務を共有」、「せわしなく 仕事終えても 次は育児のフルタイム」には「家事代行サービス代金 補助制度」などと組み合わせを作っていった。
担当者は「ゲーム感覚で取り組むことで話しやすい雰囲気になり、前向きな議論ができた」と効果を語った。
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