みそぎの名水とサウナで夏だけの「ととのい」 豊前市の畑冷泉館が熱い!

角田川沿いに立つ畑冷泉館
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記事 INDEX
- みそぎの場から憩いの場に
- 冷泉を観光資源として活用
- 水の心地よさがSNSで拡散
サウナが全国的なブームとなる中、夏の間だけ営業する「畑冷泉館」(福岡県豊前市)が熱い注目を集めています。人気の理由は、樹齢800年を超える大クスの根元からわき出る冷泉。夏季限定の「ととのい」を求め、サウナを愛する「サウナー」たちが続々と訪れます。
みそぎの場から憩いの場に
冷泉館は、豊前市西部を流れる角田川沿いにある水(すい)神社のそばに立っています。大クスの根元からわき出る水は1日約1000トン。かつては豊前市の南に位置する求菩提山(くぼてさん)で修行する山伏や近辺の神職のみそぎ場で、一般の立ち入りは禁じられていました。
1903年(明治36年)になると、旧畑村の神官が「村人に喜んでほしい」と石組みの露天浴場を造って開放。以降、地元住民の憩いの場として親しまれてきました。
担当する市商工観光課係長の上森康博さんも「子どもの頃、日焼けすると親に連れてきてもらいました」と振り返ります。飲料水としても知名度が高まり、県内外から多くの人が名水を求めて訪れます。
冷泉を観光資源として活用
この冷泉を観光資源として活用しようと、1994年に建てられたのが男女別の浴槽を備えた冷泉館です。当初は冷泉のみで通年営業し、珍しさもあって多くの人でにぎわったといいます。ただ、年間を通じて15度前後の水は、季節によっては冷たすぎることもあり、客足が伸び悩むようになったそうです。
水を温めて温泉にすることも検討されましたが、費用面から断念。解決策としてサウナを併設することになったといいます。別棟にサウナを建設した後、2003年に全体を改修。約90度のドライサウナと蒸気が立ち込めるミストサウナを備えた今の形になりました。営業は夏季のみとし、客も少しずつ増えていきました。
実際にサウナに入って汗を流し、冷泉につかってみると、やわらかい水が全身を包み込んでくれるような感覚です。肌をさすような刺激はほとんどありません。今年初めて冷泉を体験したという男性は「『水がいい』の一言に尽きる。ずっと入っていられるし、疲れもとれます」と満足そうでした。
水の心地よさがSNSで拡散
「冷たいのに冷たさを感じさせないやわらかさ」「まさに究極のサウナ」――。近年はこの水の心地よさが評判になり、SNSを中心に拡散。市外からもサウナーが訪れるようになりました。昨年の利用者は延べ約3000人に上り、今年は昨年の倍のペースで推移しているそうです。
上森さんは「SNSで有名な人が訪れて冷泉を褒め、さらに豊前市のいろいろな場所に行ってくれる。市の担当者としてうれしい限りです」と笑顔を見せます。市はブームを追い風に、秋の貸し切り営業やサウナ関連のイベントができないか検討しているそうです。
冷泉館を管理する豊前市畑活性化協議会の野口稔弘さんは「私自身はサウナが苦手だけど、この冷泉を知ってもらえるのはいいこと。地域で代々つないできた冷泉なので、いい形で守っていきたいです」と話しています。
7月17日に始まった今年の営業は8月31日まで。営業は10~17時。料金は中学生以上400円、小学生200円で、幼児は無料です。
施設名 | 畑冷泉館 |
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所在地 | 福岡県豊前市畑708 |
電話 | 0979-82-0976 |