地域にたたずむ小さな地蔵 夏は麦わら、冬にはニット帽
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柔和な表情をたたえた小さな地蔵が、道路脇にたたずんでいた。北九州市八幡東区枝光地区で開かれたウォーキングイベントで、目印として地図に示されていたが、気づかない人もいるほど小さかった。
気になって何度か訪ね、地蔵について聞いて回った。「交通事故で亡くなった女性をしのんで置かれた」と地元のお年寄りたち。ミカンや花が供えられた地蔵には、夏は麦わら帽、冬にはニット帽がかけられる――とも話してくれた。
区役所の担当者にも聞いた。「ゆかりは分からないが、昔から地域に溶け込んでおり、市としてはこのまま見守っていきたい」。多くの人の思いを受け止めている地蔵は、訪れる度にお供え物が変わっていた。地蔵がかぶっていた帽子が強い風に飛んでしまい、慌てて追いかけたこともある。
「かわいらしいお地蔵様ですね。昔から付近を歩いていたけど気づかなかった」。新聞に載った写真を見た女性に電話で場所を尋ねられた。探すのは難しいかもしれないと伝えると、「宝探しのつもりで主人と歩いてみます」と明るい声が返ってきた。