昨年2度の大規模火災に見舞われた北九州市小倉北区の旦過(たんが)市場周辺では4月26日、火災跡地に「旦過市場応援自動販売機」がお披露目され、にぎわい再生に向けて新たな支援の動きがスタートした。被災店舗などが入居するプレハブの仮設店舗「旦過青空市場」でも入居1号店が開店し、店主と買い物客は久々の再会に笑顔を見せた。
6台設置 売り上げの一部寄付
自販機はコカ・コーラボトラーズジャパン(本社・東京)が、旦過市場周辺に計6台を設置。正面に旦過市場のロゴがあしらわれ、側面には「旦過市場応援自動販売機」の文字が記されている。売り上げの一部を市場一帯のまちづくりを行う会社「旦過総合管理運営」に寄付する仕組みだという。
応援自販機はコカ・コーラボトラーズジャパンが管轄する1都2府35県で設置が可能。同社が設置先から場所と使用電気の提供を受けて無償で自販機を置く。同社の関敬介・九州地区統括部長は「できるだけ多く設置し、旦過を手厚くサポートしていきたい」と話す。
北九州出身社員の思い実る
今回の設置は、同社に昨年4月に入社した同市出身の社員が「旦過のために何かできないか」と働きかけたことがきっかけ。北九州支店で研修中だった昨年10月頃から先輩社員と相談して自販機の設置を検討し、市場側とデザインや場所などの相談を重ねてきた。
同社員は26日に行われた除幕式にも参加。「幼い頃から通い、人々が温かい場所だと思っていた。地元のために役立ちたいという思いが形になって感激です」と声を弾ませた。旦過総合管理運営の森尾和則社長は「(自販機で)購入してくれた方々の気持ちは、イベントなどで還元したい。今まで以上に愛される市場となるよう努力していく」と述べた。
旦過青空市場では入居1号店オープン
また、旦過青空市場ではこの日、昨年8月に発生した2度目の火災で被災した青果店「味の坪田」が最初の入居店としてオープン。約20年前から通ってきたという近くの女性(74)は新鮮なタマネギを購入し、「店主さんとの会話も久々に楽しめた。旦過市場の近くで再開してくれてうれしい」と喜んでいた。