新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に引き下げられる5月8日以降の医療体制などについて、福岡県の服部誠太郎知事は4月27日の定例記者会見で、宿泊療養施設や保健所による健康観察などを廃止すると発表した。一方、感染拡大に備えて、病床確保や電話相談窓口の設置は続ける方針。
宿泊療養施設を廃止
新型コロナでは、県が感染対策や外出自粛を要請したり、入院調整を担ったりしてきた。5月8日以降は、季節性インフルエンザと同じ対応となり、感染者数も毎日の全数把握から、1週間ごとに一部の医療機関が報告する「定点把握」に変わる。
県は現在、宿泊療養者向けに八つのホテルで計1668室を確保しているが、同日以降は廃止する。また、▽感染不安を感じる人を対象にした無料検査▽保健所による健康観察▽濃厚接触者の特定▽自宅療養者への食料品の支援――なども行わない。感染対策を行った飲食店や宿泊施設への「認証制度」も終了する。
電話相談は継続
感染拡大の恐れがあることから、継続する取り組みもある。医療が逼迫(ひっぱく)した場合は、コロナ患者に対応してきた医療機関を中心にすぐに入院できる病床の確保を呼びかけ、最大で1600床を確保する。
また、インターネット上で発熱外来を探せる「ふくおか発熱外来検索サイト」や、コロナ陽性になって症状が悪化した時に電話で相談できる窓口(24時間体制)の設置も続ける。
服部知事は記者会見で、「8回に及ぶ(感染拡大の)波があったが、県民の皆様とともに乗り越えることができた」と振り返った。今後、基本的な感染対策や、感染して療養中に外出を控えるかどうかについては「個人の判断」に委ねられるが、「周囲の人への感染を広げないように、適切に判断して行動してほしい」と呼びかけた。
5月8日以降に廃止・継続する取り組み
◆廃止
▽感染不安を感じる人を対象にした無料検査▽保健所による陽性者の健康観察、医療機関への搬送▽濃厚接触者の特定▽宿泊療養の受け入れ▽自宅療養者への食料支援、パルスオキシメーターの貸し出し▽毎日の感染者数の把握
◆継続
▽最大で1600床の病床を確保(9月末まで)▽受診できる医療機関を探せる「ふくおか発熱外来検索サイト」▽陽性者ら向けの24時間対応の電話相談窓口