旦過市場で1年ぶりの食市祭 昭和館のCFは目標を超える

 昨年2度の大規模火災に見舞われた北九州市小倉北区の旦過(たんが)市場で5月1日、特売の催し「食市祭」が約1年ぶりに開かれた。大型連休の期間中とあって大勢の買い物客が訪れ、客を呼び込む商店主らのかけ声が飛び交った。


約1年ぶりに開かれた食市祭でにぎわう旦過市場

 食市祭は毎月、月初めに開催されていたが、1度目の火災前の昨年4月1日を最後に中断されていた。今回、同市場などが主催する復興支援への感謝祭「タンガ リボン フェス」の一環として再開。各商店には「半額」「一割引き」など特売を知らせる貼り紙が出され、家族連れや外国人観光客らでごった返した。

13日、20日にも催し

 郷土料理「ぬか炊き」の専門店では、手羽先のぬか炊きを半額で、そのほかの商品は1割引きで販売。サバやタケノコ、手羽先のぬか炊きを購入した福岡市のパート従業員(46)は「旦過のぬか炊きが好物で買いに来た。火災の影響を心配したが、にぎわいが戻っていて安心した」と喜んでいた。

 感謝祭ではこのほか、13日午後4時から、縁日をイメージした出店が並ぶ「旦過宵市」、20日午前10時からは、水消火器を使った防火イベントなども開催される。

小倉昭和館 再建への支援4000万円超

館主「感謝しかない」

 旦過市場一帯で起きた大規模火災で被災した老舗映画館「小倉昭和館」が再建費用の一部を募っていたクラウドファンディング(CF)で、締め切りの4月30日までに、目標額を大幅に超える4027万6444円が集まった。樋口智巳館主は「全国や海外の幅広い年代から支援していただき、感謝しかない」と話した。

 今年12月の再建を目指して、昭和館はCFサイト「キャンプファイヤー」で3月20日から3000万円を目標に寄付を募った。目標額に達しても受け付ける仕組みで、最終的には2264人が支援。寄付金は映写機や座席、スクリーンなどの設備調達費のほか、飲食スペースなどを想定しているロビーの整備に充てる。

企業の支援金集め継続

 再建に向けては内装や防音などの工事費も必要で、CFで集まった金額は昭和館が負担する費用の半分近くだという。昭和館では自己資金を投じるほか、北九州銀行の専用口座で寄付を受け付けており、企業の支援金集めも継続している。

 樋口館主は「CFが終わった瞬間、(寄付額が表示された)パソコン画面に手を合わせた。支援のおかげで映写機や座席の発注ができ、具体的に再建へ進んでいける」と感謝の言葉を述べた。


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