福岡市動物園が計画していたミャンマーからのアジアゾウの受け入れが遅れていた問題で、同園は5月16日、今年度中の受け入れを目指して、関係機関と調整していることを明らかにした。ただ、同国の治安情勢は不安定な状況が続いており、具体的な受け入れ時期は未定のままとしている。
ミャンマー情勢で遅れ
同園では、2017年に雌の「はな子」が死に、ゾウが不在となった。市と同国は19年に雄1頭、雌3頭を受け入れる内容で合意し、覚書を締結。受け入れに際しては、事前に飼育の方法などを学ぶために園の飼育担当者を現地に派遣し、現地からは飼育員や獣医師を招く予定だった。だが、20年に新型コロナの感染が拡大し、翌21年2月には現地で軍事クーデターが発生。派遣する職員の安全が確保できないことから、受け入れ時期は見通せなくなっていた。
同園によると、受け入れに向けてゾウ舎の改修や新築を進めており、今年度予算にはゾウの輸送費など約1億5600万円を計上。3月には、職員の派遣をとりやめ、現地から招く飼育員に予定より長く滞在してもらうよう覚書の内容を変更することで了承を得たという。現在は受け入れるゾウを選定しており、輸送に必要なチャーター機も今後手配するという。
同園の担当者は「現地の事情もあり、いつ受け入れられるかは依然見通せないが、受け入れに向けて準備を進めたい」としている。