大雨被災の温泉再開をCFで支援! 田主丸・みのう山荘

 九州北部の記録的な大雨による土砂災害で、福岡県久留米市田主丸町の温泉施設「みのう山荘」が大きな被害を受け、休業が続いている。20年にわたり、地元住民らに愛された温泉をもう一度復興させようと、従業員らが懸命の復旧作業を続けている。支援者らは、7月下旬からクラウドファンディング(CF)を始め、再開に向けた後押しをしている。

施設が土砂で埋まる


裏山が崩れ、露天風呂などが土砂で埋まった「みのう山荘」

 「最初、被害を目の当たりにした時は現実と思えず、涙も出ませんでした」。崩れた裏山と、その土砂に完全に埋もれた露天風呂や内湯を前に、みのう山荘のオーナー・福嶋智巳(ともみ)さんは語った。

 みのう山荘は、久留米市田主丸町の耳納連山・鷹取山の麓にある。福嶋さんが父親(故人)と共に1800メートルの深さまで温泉を掘削、自ら雑木林を切り払うなど手作業で整備し、2003年に営業を始めた。田主丸町一帯の田園風景を見おろす絶景の露天風呂と源泉掛け流しの温泉などが人気で、さらに地元フルーツなどを使ったメニューが人気のカフェも併設。20年間、地元住民や県内外の観光客らに親しまれてきた。

 土砂災害が発生した7月10日当日は、朝からの大雨で臨時休業にしていたため、従業員や利用客はいなかった。しかし、近所の農園から「土砂崩れが起きている」と連絡が入り、近くの知人に見に行ってもらったところ、裏山が崩れて温泉施設に土砂が流れ込み、露天風呂や通路などの屋根も押し流されていたという。

SNSで支援の輪

 二次被害の危険もあったため、従業員らが実際の被害を確認できたのは、雨が上がった2日後だった。豊かな湯をたたえていた露天風呂や内湯も茶色い土砂で埋まり、以前の面影は全くなく、店長の安井那称子(ななこ)さんは「たった数日でこんなことになるなんて。もうここでやり直すのは正直難しいと思った」と振り返った。

 しかし、被害の状況を写真や動画でSNSに投稿すると、すぐにボランティアの人たちが反応し、翌日には駆けつけてくれた。遠くは大阪から約8時間かけて機材を持ってきてくれた人もいた。ボランティアの人たちは「大丈夫、大丈夫。きっと戻せる」と温かい言葉をかけてくれ、次第に従業員も落ち着いていったという。


田主丸一帯の景観を楽しめた、被災前の露天風呂(提供:みのう山荘)

 さらに、SNSやメールで「再開されることを祈っている」「微力ながら応援させて」などと被害を心配する声や支援を申し出る連絡が100件以上届いたという。7月下旬には、友人がCFを開設してくれた。福嶋さんは「こんなに多くの人に愛されている場所だったんだ」と涙があふれたという。

 今は復旧に向けて、土砂の撤去などを行っているが、私有地で住宅ではないなどの理由で行政の支援がなく、従業員とボランティアで作業を続けている。福嶋さんは、「元通りは難しいかもしれないが、応援している人のために、小さくても皆さんに喜んでもらえるお風呂を作って再開したい」と話している。

 CFは、専用ページから、8月31日まで受け付けており、目標額は500万円。8月4日現在で150万円超が集まっている。義援金も受け付けており、専用口座は、「福岡銀行田主丸支店 普通 899559 名義『カ)ミノウサンソウ』」へ。


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