宮若に伝わる歌47曲を収録 元教諭がCD付き本を出版

2023.08.17

 福岡県宮若市宮田の藤渕明宏さんが、地域に伝わる盆踊りの歌など47曲の歌詞や楽譜を収め、全曲収録のCDを付けた本「みやわかに奏でるうた」を自費出版した。約20年をかけて住民から聞き取るなどして、今では知る人も少ない曲も含めてまとめた。

聞き取り20年で100人超

 旧宮田町出身の藤渕さんは元中学校教諭。定年退職後、地域の行事に参加する機会が増え、地元の祭りで盆踊りの曲を耳にした際、「不思議な調和の音と曲に酔った」という。


自費出版したCD付きの本「みやわかに奏でるうた」を手にする藤渕さん


 〽平作が千鳥足ソコ木の根に、けつまずいて、ひょろひょろと(繰り返し)

 太蔵東区に伝わる盆踊りの唄「平作」の音源は、三味線と太鼓のはやしに合わせて歌われる。これを合図に踊り手たちが集まったという。いつ頃にできた曲で、誰が歌っているのか――。興味を引かれ、地域住民に尋ねて回るうちに、同区に残る別の曲も見つかった。

 その後は、地域に伝わる曲を知る住民を探し、歌詞や楽譜、歌い手を教えてもらった。聞き取った人数は約20年で100人超。現在は祭りでも披露されない曲も把握できた。

スマホで曲を聞ける

 本では、「愛唱歌」「音頭・小唄」「盆踊り」「地域の歌」など六つのカテゴリーに分けて紹介している。地域経済の支えとなった「貝島炭鉱」の社歌も掲載。作曲者は「軍艦マーチ」で知られる瀬戸口藤吉氏だった。QRコードも掲載しており、スマートフォンなどで読み込めば曲を聞ける。曲は音源を借りたり、歌い手を自宅に招いて録音したりしたという。

 藤渕さんは「こんなに多くの曲が作られ、伝わってきたのは、地域のつながりが強かった証拠。大切に残していきたい」と話している。

 本は150部を出版。希望者には無料で提供するという。問い合わせは藤渕さん(090-7534-3652)へ。


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