豊前市の駄菓子屋「ろじうら」が人気 Uターン男性が起業

 福岡県豊前市中心部の商店街で2023年オープンした駄菓子屋「ろじうら」が、子どもから大人まで幅広い世代の人気を集めている。店主は地元出身の楠本拓高(ひろたか)さん(32)。小学生の頃に心を躍らせて通った駄菓子屋を復活させたいと起業した。「商店街のにぎわいづくりにも貢献したい」と張り切っている。


様々な種類の駄菓子が並んだ店で接客する楠本さん(中央)

 楠本さんは福岡市の大学を卒業後、愛媛県のプラスチック関連会社に就職。約3年前にUターンし、宅配会社に転職した。配達で地域を回るうちに自ら起業して仕事に励む人々に刺激を受け、「自分も店を持ちたい」と思うようになった。

 子どもの頃、おもちゃが当たるくじなどを目当てに小遣いを握りしめて通った駄菓子屋。地元から姿を消して寂しさを感じていたことから、駄菓子屋での起業を決めた。宅配会社に在職中の2022年、豊前中央通り商店街の木造2階建ての元飲食店を貯金で購入。退職から間もない23年8月に店をオープンし、営業しながら店内の壁を塗ったり、木製のテーブルや椅子を手作りしたりした。

 品ぞろえは、ラーメンスナックやイカの菓子、麦チョコ、フルーツゼリーなど約500種類で20円から。駄菓子用のプラスチックケースなどに入れ、2階の6畳2間の和室に並べている。もともと売り場にしていた1階は客がくつろげる空間にしようと、コーヒーやクレープなどを提供するカフェに変更した。

楽しく過ごせる場所に

 次第に口コミやSNSで評判が広がり、放課後の小学生で2階がいっぱいになることも。市内外から「昭和レトロ」を求める大人の来店も増えているという。12月中旬に来店した地元の主婦、堀尾光代さん(63)は「子どもの頃からあった駄菓子を見つけるとテンションが上がる」と笑う。

 楠本さんは子どもたちとふれ合いながら、「友達とけんかした」といった相談にも耳を傾ける。来店した保護者から「親が安心できる場所で子どもが楽しく過ごせるのはありがたい」と感謝の言葉をもらった時は、胸が熱くなった。

 「自分自身、駄菓子屋には楽しい思い出しかない。そんな思い出が一人でも多くの人に増えるよう頑張りたい」と楠本さん。「駄菓子屋に人が集まることが商店街の活気につながればうれしい」とほほ笑んだ。

 開店時間は午前11時~午後6時半で不定休。店の情報は同店のインスタグラムで確認できる。


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