福岡県大牟田市と熊本県荒尾市は、市民のがん検診や健康診査について、今年度からどちらの市の医療機関でも受診できるようにした。大牟田市によると、県境をまたいで相互受診を可能にするのは、九州では初の試みという。
福岡、熊本の県境にある両市は生活圏を共有し、市民の多くが双方の医療機関を利用している。
相互受診の対象は、▽女性の子宮頸(けい)がんと乳がん検診▽40~74歳の国民健康保険加入者の特定健診▽20~39歳の国民健康保険加入者に対する20代30代健診(荒尾市は若年者健診)。どちらの市で受診しても、自己負担額は居住自治体で受けた場合と同額になる。
狙いは受診率の向上
大牟田市によると、生活習慣病の早期発見・治療につながる特定健診は、2022年度の受診率が32.2%で、県平均(34.4%)や全国平均(37.5%)と比べて低い状況が続いている。相互受診を可能にすることで利便性を高め、受診率の向上を図るのが狙いで、大牟田市民の場合、特定健診を受けられる医療機関は79から98に増える。
市健康づくり課は「近くのかかりつけ医で受診できることで、受診率の向上や健康寿命の延伸、医療費適正化につながる」と期待している。