北九州市小倉北区の旦過市場一帯で起きた火災で焼失し、再建された老舗映画館「小倉昭和館」の営業再開から1年になる12月19日、同館で、記念のトークセッションが開かれる。館主の樋口智巳さん(64)は「1周年を迎えられるのも皆さまの応援があったからこそ」と感謝している。
火災は2022年8月に発生し、市場に隣接した昭和館1、2号館を焼失。再建に向けてクラウドファンディングを行い、市出身の俳優リリー・フランキーさんが先頭に立って協力を呼びかけたほか、多くの地元企業なども支援した。
2023年12月に再建された映画館では、「昭和館①②」のネオン看板を修復して館内に飾り、1スクリーン全134席を備えた。このうち、昭和館を応援する映画監督、俳優、落語家らの名前の刺しゅうを入れた座席は7席増え、47席になった。
再開後の上映作品は、昭和館と同じく火災後に立て直された映画館が舞台の「ニュー・シネマ・パラダイス」を手始めに約150本を数え、一部では監督や出演者らが登壇。23年に続き北九州国際映画祭の会場になったほか、市出身のシンガー・ソングライターChageさんがライブを開いたり、アート作品がロビーに展示されたりしてきた。
樋口さんは「今後もいろんな形で集ってもらえる場所であり続けられるように努めたい」と語る。
トークセッションや短編上映
トークセッションは、支援者らでつくる「小倉昭和館シネクラブサポート会」(会長=中島俊介・西南女学院大教授)の主催。「これからの小倉昭和館」をテーマに、作家の村田喜代子さんと町田そのこさん、料理研究家の山際千津枝さん、樋口さんらが語り合う。
焼失前の昭和館や旦過市場を舞台に市出身の俳優、光石研さんが主演を務めた短編映画「映画の街・北九州」(11分)などの上映もあり、セッション後にはロビーで懇親会を開く。
開場は午後5時半。入場料1000円で、先着100人。小倉昭和館のホームページからメールで事前に申し込むか、館内窓口でチケットを購入する。問い合わせは同館(093-600-2923)へ。