福岡大学病院(福岡市城南区)は、新生児病棟(36床)の面会環境を改善するため、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を始めた。仕切り用のカーテンの設置や壁面に動物のイラストを描く費用などに充てる計画で、担当者は「赤ちゃんと家族の心が和らぐ空間を作りたい」と協力を呼びかける。
10月末まで協力呼びかけ
同病院は1998年、高度な新生児医療などを提供できる施設として指定を受け、NICU(新生児集中治療室)などを運営している。体重1500グラム未満で生まれた「極低出生体重児」や、先天性疾患を抱える赤ちゃんらの医療的なケアを担い、福岡市内外から年間約300人が入院する。
新生児病棟は2024年5月、完成間もない新本館に移転したが、個室はなく、大部屋に保育器やベッドが並んでいる状況。家族との面会時は、周囲からの視線を遮るために移動式のパーティションを使うが、数に限りがあった。室内の壁面は真っ白で装飾がなく、温かみが足りない印象を与えていたという。
CFは他病院の事例などを参考に約1年前から検討し、9月から実施している。計画では、保育器の周りにロールカーテンを取り付けて、プライバシーを確保しやすくする。同病院総合周産期母子医療センター(新生児部門)の福島万里・看護師長は「家族が周囲に気兼ねなく面会できる。授乳もしやすくなり、親子の愛着形成にもつながる」と期待する。
また、壁紙にはキリンやシマウマなどの動物、植物のかわいらしいイラストを彩り、心地よい空間を演出する予定だ。担当する瀬戸上貴資医師は「家族は子供が入院して不安な気持ちを抱えている。少しでも安らげる空間を提供したい」と話している。
寄付は10月末まで、専用のウェブサイトで受け付ける。目標金額は432万円。9月25日時点で120人以上から約300万円が集まっている。問い合わせは同病院(092-801-1011、午前9時~午後5時)へ。