【からあげブーム到来】航空自衛隊さん、空自空上げ食べさせてください。

記事 INDEX

  • 「唐揚げ」ではなく「空上げ」
  • 記者のベスト空上げはどの基地?
  • おうちで空自空上げ!

 航空自衛隊が各基地の食堂で提供している唐揚げを「空自空上げ(からあげ)」と名付けてPRしていることを知っていますか。コロナ禍のテイクアウト需要が後押しし、世は空前の唐揚げブーム。空自隊員以外は普段は食べることができない自慢の空上げを、福岡県内にある築城基地、芦屋基地、春日基地で試食させてもらいました。


advertisement

「唐揚げ」ではなく「空上げ」


空自空上げのレシピ集(航空自衛隊の公式サイトより)


 自衛隊グルメといえば、海軍時代の伝統を受け継ぐ海上自衛隊の「海自カレー」が有名。航空自衛隊は2016年度、隊員の食育も兼ねて「空自空上げ」を考案しました。空自は公式サイトで各基地のレシピを公開し、ゆるキャラ「からっと隊長」まで誕生させる熱の入れよう。当初、世間の反応はいまひとつでしたが、からあげブームも手伝って徐々に知名度を上げてきています。

 空自空上げは隊員の給食で提供されるメニューなので、基本的に隊員以外は食べられません。口にできるチャンスは、一般向けの基地見学に参加し、試食の給食が運良く空上げだった場合のみ。一方、海自カレーは地域おこしのコンテンツとして、基地周辺のレストランなどが提供しており、観光客にも人気があります。

 そんな"幻メニュー"の空自空上げ。何枚もの取材申請書を提出し、基地で試食させてもらった空自空上げ(福岡県内版)を紹介します。


advertisement

はっきり言います。一番うまい。


築城基地の「築城基地空自空上げ」

 トップバッターは福岡県東部に位置する築上町の「築城基地」。県内で唯一「戦闘機」が配備されている空自基地です。看板メニュー「築城基地空自空上げ」は、名前も見た目も素っ気ない普通の唐揚げですが、その味やいかに。

 「からあげ王国」大分県中津市にも近い築城基地には、約20年前から基地オリジナルの唐揚げレシピが存在し、歴代の給食担当が味の改良を重ねてきたそう。基地広報によると、定年退官時の最後の食事にリクエストする自衛官もいるとか。平均して月に1、2回、給食で提供されるそうです。

 30年以上のベテラン、原田祐一さんにその特徴を聞きました。「確かにこれといって特徴がないように見えますが、昆布だしとオイスターソースを加えて味に深みをプラスしています。砂糖は気持ち多めにして、少し甘めの味付けにしています」。調理のコツは下味の漬け込み具合。家庭で再現する場合は、20~30分程度でさっと漬け込むのが良いそう。それでは実食!



 

"保守的"な味覚を持つ記者にとって、頑固一徹に「うちは昔っからこれで勝負してますんでね」とでも言いたげなオーソドックスな唐揚げは大好きな味でした。味の決め手は間違いなく昆布だしとショウガです。ご飯のおかずとしてだけでなく、ハイボールなどのお酒にも合いそうです。すべてがちょうどいい。お世辞抜きにおいしかったですよ!


advertisement

若い隊員に支持されるパンチの効いた味


芦屋基地の「芦屋和風香味空上げ丼」

 福岡県北部・芦屋町の「芦屋基地」。今年で創立60周年を迎えるこの基地は、若い隊員たちが訓練を積む「学校」としての機能が強い拠点です。そんな若い隊員向けに考案された「芦屋和風香味空上げ丼」は、海が近い芦屋のご当地色が豊かな味に仕上がっています。

 全国から学生が集まる芦屋基地には、多種多様な部隊が存在します。給食では、若者を飽きさせないバリエーション豊かなメニューを心がけているそう。給食班の田中太さんは「短い時間でさっと食べられ、野菜もとれるように工夫しています。下味はシンプルにし、魚の風味をきわだたせています。サワラ魚粉は手に入りにくいので、カツオ粉などで代用すると良いですよ」と教えてくれました。それでは実食!



 

やや濃いめの味付けで、若者が好きそうな味です。醤油だれが染みこんだニンニクチップがガツンときます。魚粉が意外とクセになる味で、鶏も魚もけんかせずに共存共栄。麺つゆ、一味唐辛子、山椒、マヨネーズなど、築城基地のレシピとは真逆の素材の「足し算」が生んだ唐揚げで、当たり前ですが、ご飯との相性が抜群でした!


advertisement

春日基地の空上げは明太子で勝負


春日基地の「春日基地空自空上げ」

 最後は福岡都市圏に位置する春日市の「春日基地」です。空自西部航空方面隊の司令部機能がある一方、航空機が離着陸する独自の滑走路はありません。福岡空港(福岡市博多区)の一部を「春日基地板付地区」とし、部隊の一部が駐屯しています。

 春日基地の空上げは、福岡の定番「辛子明太子」を使っています。明太子入りの衣をつけ、ピリ辛仕上げ。調理を担当する大石智範さんは「明太子が焦げやすいので、弱火でじっくり揚げてください。材料がシンプルで手軽に調理いただけます」と紹介しています。ラスト実食!



 

やはり明太子を使ってきたか。福岡に存在する基地だけに、どこかの基地が使ってくるだろうと思っていました。基地では衣にパプリカ粉末を混ぜて鮮やかな色を出していますが、さすがに一般家庭での再現は難しそう。明太子が焦げやすいので、慌てず急がず、じっくりと火を通そう。しっかりとした味付けで、居酒屋で出てきたら嬉しいメニュー。基地周辺の居酒屋さん、いかがでしょうか。お酒とも合いそうですよ。


advertisement

読者の皆さんもご家庭で再現してみませんか?

 福岡県内の各空自基地で提供されている「空自空上げ」。新型コロナウイルスの影響で、春日、芦屋基地は見学の受け入れを見合わせています。築城基地は基地見学を再開していますが、昼食の体験は中止のままです。各基地で空自空上げを食べることはまだ残念ながらできません。

 各基地の広報は「全国の基地のレシピをウェブサイトで紹介しているので、各家庭で『空自空上げ』を調理してお気に入りの味を見つけてほしい」と呼びかけています。おうちで空上げに挑戦してみてください。


この記事をシェアする