「いじめの痛み知って」チャリティープロレスを続ける覆面レスラー・アステカさん
記事 INDEX
- メキシコで見たヒーロー
- まちおこしからいじめ撲滅へ
- 体が動く限り続けたい
福岡を拠点に活動する覆面レスラー・アステカさん(51)が、チャリティープロレスの取り組みを続けています。メキシコのプロレス「ルチャ・リブレ」に影響を受けた社会貢献は20年以上。デビューまでの苦労や海外での経験、プロレスにかける思いを聞きました。
アステカさん
福岡県で育つ。1993年メキシコでデビューし、得意技は「フライング・ボディアタック」。入場曲はオジー・オズボーンの「Bark at the Moon」。覆面レスラーが着用するマスクの職人としての一面もあわせもつ。
メキシコで見たヒーロー
アステカさんはプロレス団体「華☆激」の代表を務め、福岡を中心にチャリティープロレスを開いています。これまで数十回開催し、収益の一部を寄付してきました。こうした活動のきっかけに、レスラーとしてデビューしたメキシコでの経験があったといいます。
高校卒業後、新日本プロレスの入門テストに挑むも不合格となったアステカさん。アルバイトなどで貯めたお金を手に、一人でメキシコに乗り込みます。
しかし、海外の過酷な環境や酸素の薄い高地での練習に耐えられず、すぐに帰国。福岡のジムで鍛錬を重ねて再びメキシコに渡り、1993年5月、地方の小さなリングで念願のデビューを果たしました。
メキシコのルチャ・リブレでは、各地に会場があり、地元のレスラーは住民たちのヒーローです。巡業で様々な選手と対戦し、地域を盛り上げる姿を目にしました。メキシコから帰国したアステカさんは、日本でも同じ"熱気"を広めたいと考え、1997年に「日本初のまちおこしプロレス団体」として「華☆激」を旗揚げしました。
まちおこしからいじめ撲滅へ
地域の商工会などの協力を得てイベントを開き、収益の一部をその地域に還元する形でスタート。少しずつ知名度も高まり、自身も総合格闘技への参加などを経て、憧れだった新日本プロレスの舞台にも立ったり、メキシコ最大級の会場「アレナ・メヒコ」に凱旋したりすることができました。
しかし40歳になると、若手の台頭を感じ始め、進むべき方向を模索するようになります。そんなとき、華☆激の選手たちの会話に、子どもの間で広がる"いじめ"に関するものが増えていることに気づきました。
「ゲームなどの影響で人の生死に対する価値観が低くなっている。今の子どもたちにプロレスを通じて、いじめによる心や体の痛みを伝えられないか」――。企業などの協賛を募って「いじめ撲滅チャリティープロレス」を始めることにしました。
体が動く限り続けたい
今では、飲酒運転撲滅や交通遺児支援などにも目的が広がり、「こども夢応援プロジェクト」としてイベントを展開。会場では、勝ち負けの決まり方や反則行為を子どもたちに説明したり、親子で参加できるプロレス教室も行ったりしています。
試合会場では、「いつも勝てるとは限らないけど、一番大事なのはあきらめないこと」「いじめをやっちゃだめだよ」と子どもたちに訴えます。2016年に急性心筋梗塞を発症し、リハビリを経てリングに返り咲いた自身の経験を話し、病気と闘う大人を勇気づけることもあります。
次回のチャリティープロレスは6月4日(土)17時30分から、さざんぴあ博多(福岡市博多区)で行われます。アステカさんは「プロレスにわくわくした幼い頃の自分と同じ気持ちを今の子どもたちに伝えていきたいです。体が動く限り続けます」と話しています。
イベント名 | こども夢応援プロジェクト「交通遺児支援チャリティープロレス」 |
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開催場所 | さざんぴあ博多(福岡市博多区南本町2-3-1) |
開催日時 | 6月4日(土)17:00開場 17:30試合開始 |
料金 | 一般:4000円 小中学生:1000円 ※未就学児無料 |
問い合わせ | プロレスリング華☆激(092-512-0695) |