「脊振に出会えて良かった」 四季を撮り続けた男性が集大成の写真集を自費出版

「一期一会」の思いでシャッターを押す池田さん

 30年以上にわたって、脊振山系の豊かな自然を撮影してきた福岡市早良区のアマチュア写真家・池田友行さん(78)が、写真集「すばらしき脊振の四季」(櫂歌とうか書房)を自費出版した。四季折々の表情を見せる登山道周辺の花や風景をまとめたもので、「脊振山系では、まだこんなに豊かな自然が残っていることを伝えたい」と話す。

 池田さんは高校時代は山岳部に、西南学院大ではワンダーフォーゲル部に所属。脊振の山々はいつも身近にあった。48歳の頃、本格的に登山を再開し、撮影活動もはじめた。脊振の写真集は3冊目で、今回を「集大成」と位置付けている。


写真集「すばらしき脊振の四季」を手にする池田さん

 現在も週1回程度、カメラを手に脊振山系に登る池田さん。特に、早朝や雨上がりに生き生きとした姿を見せる草花と"会話"をするのが楽しみだという。


「雨上がり」(池田さん撮影)

 表紙に選んだ写真も、小雨が降る霧の日の1枚。登山道からコバノミツバツツジがわずかに見えた。引き寄せられるように竹やぶに入って三脚を立てた。気付くと腰から下はびっしょり濡れていた。「待っていたよ」と花に語りかけられている思いがしたという池田さん。「うん、ようやく会えたね」――。心の中で会話しながら撮影した。


表紙となっている、霧に咲くコバノミツバツツジ(池田さん撮影)

 「てる小爪沢こづめさわ」とタイトルを付けた写真は、10年に1度の寒波が襲来した際の1枚。川の上流にある小さな滝で、ほとばしる滴が凍り、まるでダイヤモンドのように輝いている情景に出くわした。沢が凍るという初めて目にする光景に、寒さも忘れて夢中でシャッターを押したという。


「凍てる小爪沢」(池田さん撮影)

 どの時期に、どの場所で、どんな花が咲いているかが分かるという池田さん。とはいえ年々変化し、少しずつ違う姿を見せる草花を前にして「この花が来年も咲いてくれているかは分からない。もう撮れないかも」と一期一会の思いで撮影する。


「脊振山―椎原峠縦走路」(池田さん撮影)

 春はウグイス、夏はホトトギス――。野鳥のさえずりや、肌に伝わる風の流れで四季の移り変わりを感じるという。「脊振に出会えて良かった」。取材の最後につぶやいた一言が心に残った。


福岡市街地の奥に見える脊振山系(左上は脊振山頂)

 写真集は257ページで4899円(税込み)。問い合わせは櫂歌書房(092-511-8111)へ。



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