目標は全国制覇! 日産九州の硬式野球部が15年ぶりに復活

日産九州の硬式野球部が活動再開。左から東部長、合田主将、植山監督ら

 日産自動車九州(福岡県苅田町)の硬式野球部が15年ぶりに活動を再開しました。いったん休部した社会人チームが復活するのは珍しい事例です。都市対抗野球大会をはじめ全国大会出場15回を誇る九州の名門が帰ってきました。目標はかつて成し遂げられなかった「全国制覇」です。

復活に「涙」

 日産九州では2月19日、チーム新体制を発表する記者会見が開かれました。登壇した植山文彦監督(55)(中津工業高出身)は「会社から復活の話を聞いた時は涙が出ました。諦めないで良かった」と声を詰まらせました。


壮行会で社員の激励を受ける選手たち


 日産九州の野球部は1986年に本格的な活動を開始。九州の高校出身者を中心に選手を集め、都市対抗でベスト8に進んだことも。元ダイエー(現ソフトバンク)の藤井将雄投手らを輩出し、九州の強豪として全国の野球関係者に知られる存在でした。


 しかし、カルロス・ゴーン氏が日産社長を務めていた2009年、本体の日産硬式野球部(神奈川県横須賀市)とともに、会社の業績不振を理由に休部となりました。

 当時所属していた植山監督をはじめ、日産九州のチーム関係者は「この火を消してはいけない」と、クラブチーム「苅田ビクトリーズ」を結成します。会社からの支援はないものの、15年にわたって地道な活動を続けてきました。


新ユニホームの袖には、九州とブルーバードがあしらわれている


 今回はこの活動が実を結び、ビクトリーズを母体として部は再出発します。高卒の若手ら新人11人も加わり、選手30人の体制で戦います。新しいユニホームに袖を通した合田有希主将(26)(希望が丘高、横浜商科大出身)は「都市対抗優勝を目指したい。地域に愛され、憧れられるチームにしたい」と意気込んでいます。


おかわり自由

 会社もサポート体制を組みます。選手寮を用意し、用具や食事のほかサプリメントを提供。移動費なども支援します。クラブチーム時代に週末の1日だった全体練習は、就業後の午後3時以降を含めて平日も3時間ほど確保します。部長を務める東俊明・取締役常務執行役員は「寮の食事はおかわり自由」と”全面支援”を約束します。


壮行会で活躍を誓う選手たち


 「諦めかけた時もありますが、『いつか復活を』とビクトリーズでの活動を続けてきたことは間違いではなかった」と植山監督。「会社や地域の応援への感謝を忘れずに、仕事と野球を両立できる選手を育て、雑草軍団を復活させたい」と決意を表明しました。

 再出発したチームは3月末に公式戦の初戦を迎え、4月の都市対抗野球福岡県予選大会に臨みます。


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