小学校教諭から「星空の学芸員」に 福岡市科学館の丹野佳代子さんに聞いた

経験は無駄にはならない

――その後、宇宙科学館の仕事に戻りましたね。

 2010年から宇宙科学館で2度目の勤務になりました。佐賀県立博物館・美術館の職員として、宇宙科学館に常駐しながら、いろいろな業務を経験しました。私は「経験は無駄にはならない」と思っていて、子どもたちにもそう教えてきました。地学収蔵庫での化石修復や地層・地形の実地調査、吉野ヶ里遺跡でのイベントなどのほか、鳥インフルエンザが発生したときは応援に召集されて防護服姿で現地に向かいました。


吉野ヶ里遺跡でのイベントなど様々なことを経験した(丹野さん提供)

――そして現在は福岡市科学館で勤務しています。

 2017年に福岡市科学館が開館する前、「新しい科学館にプラネタリウムをつくるから来ないか?」と誘われ、佐賀県教委をやめてこちらに移りました。せっかく声をかけてもらったのだから力になりたいし、「人生で2度も科学館の立ち上げに関われるという経験はなかなかできない」と思いました。

――今、どんな思いを持って仕事をしていますか?

 子どもたちに、いろいろなことに興味を持ってほしいと思っています。例えば、私が化石や地質学に触れた経験は、投影する番組のストーリーを作るのに役立っています。やはり経験は無駄にはならない。この場での経験が、子どもたちの人生の分岐点で、その選択の判断材料のひとつになってくれたらうれしいです。


「経験は無駄にはならない」と語る丹野さん

――丹野さんが思う星空の魅力とは?

 星は世界中、どこでだって見られます。そして、その星の並びは星座の原型が作られた5000年前とほとんど変わりません。場所も、時間も問わず、みんなと共有することができる。それが、星空の一番の魅力だと思います。


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