「獺祭」酒米コンテストで朝倉市の農業法人が2度目の栄冠!
記事 INDEX
- 市場価格の25倍で買い取り
- 農業の会社・ウィング甘木
- 記念の特別な「獺祭」が登場
「酒米の王様」と言われる「山田錦」の2023年度のコンテストで、福岡県朝倉市の農業法人「ウィング甘木」の米がグランプリに輝きました。コンテストは、日本酒「獺祭(だっさい)」で知られる旭酒造(山口県岩国市)が主催。ウィング甘木の最高位受賞は20年度に続き2回目で、グランプリを記念する特別な酒が5月23日に発売されます。
市場価格の25倍で買い取り
コンテストは「最高を超える山田錦プロジェクト」と銘打ち、2019年度から旭酒造が実施。よりおいしい酒の追求と日本の農業の活性化に向けて企画され、グランプリの酒米60俵(3.6トン)は市場価格の約25倍となる3000万円で同社が買い取ります。
買い取った山田錦は、「最高を超える獺祭」を目指してコンテスト翌年に醸造。特別な獺祭として、国内外のホテルなどに出荷されます。一部はオークションに出品され、19年度の優勝米でつくられた獺祭は香港で1本(720ミリ・リットル)が最高約84万円、21年度分の酒は米国ニューヨークで最終約115万円の値が付いたそうです。
23年度のコンテストには、全国から144件がエントリー。精米歩合の高い加工に耐えられるよう、米の白濁した部分である「心白(しんぱく)」について「大きすぎない」「玄米の中心にある」という2点を重視して審査し、ウィング甘木の山田錦が最高の評価を得ました。
表彰式は今年1月、東京都内のホテルで開催。ウィング甘木の生産部会代表・北嶋将治さん(51)が、山田錦プロジェクト特別審査員で、「島耕作」シリーズで知られる岩国市出身の漫画家・弘兼憲史さんから目録を受け取りました。
農業の会社・ウィング甘木
ウィング甘木は1996年に農事組合法人として設立され、2008年に株式会社に改組。大型機械や最新技術の導入による大規模化・効率化を進め、水稲90ヘクタール、麦120ヘクタール、大豆30ヘクタールなどで作付けしています。
女性の参画を促し、無人ヘリによる消毒作業を外部から請け負うなどのチャレンジも。山田錦の生産は「旭酒造の姿勢に共感して」(北嶋さん)、2013年から着手。気候の影響を受けやすく、「暴れん坊で、なかなかイメージ通りにいかない」(同)という難しさがある中、今回は北嶋さんを含む8人を中心に米づくりに挑んだそうです。
5月14日には、ウィング甘木の北嶋さんと旭酒造の桜井一宏社長が福岡県庁を訪れて、服部誠太郎知事に史上初となる2度目の栄誉を報告。北嶋さんが「(グランプリは)若い人たちの刺激になる。もう1、2回、受賞したい」と意欲を示すと、桜井社長は「何度でも取ってもらうことで、他の生産者にも刺激になる」と応えました。
服部知事は「1次産業は本県の基幹産業。所得を上げ、誇れる作物を作れる環境整備が求められている」と話し、ウィング甘木の偉業をたたえて「後を担う若者も、もっともっと育ててほしい」とエールを送りました。
記念の特別な「獺祭」が登場
旭酒造は、ウィング甘木のグランプリ受賞を記念し、福岡県内で生産された米と米こうじを使った酒を5月23日に発売します。
商品名は「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分 福岡県産山田錦使用」。1本720ミリ・リットルで、希望小売価格は税込み5720円。限定約1500本を予定しており、獺祭ストア博多店(福岡市・天神の岩田屋本店 地下2階)と、福岡県内の取扱店で販売されます。
なお、グランプリ米を使った獺祭が完成するのは今年9月頃の見込みです。出来具合を確認したうえで、販路を決めていくそうです。