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夏の陽射しも和らぎ、日に日に涼しくなっていく季節です。足元から暖かくなるカラフルな靴下の専門店があると聞き、福岡市中央区六本松へ取材に行ってきました。
アパートの2階にある靴下専門店
目的の店 「How’s That(ハウズザット)」は、細い路地に面した趣のあるアパートの2階にありました。
店を営んでいるのは、綾部舜さんと光里さん夫妻。靴下の生産量日本一を誇る奈良県広陵町の出身で、幼いころから編み機の音を聞いて育ったそうです。温かみあふれる店内には、色とりどりの靴下がずらりと並んでいます。
模様が異なる様々な種類の靴下があり、それぞれにユニークな名前がついています。「山は優しく燃えゆ」「あの日のサーファー」「秋のハイキング」――。できあがった靴下の配色を見ながら、2人で名前を決めるのだそうです。複雑な色合いをピタリと表す言葉を眺めていると、どの靴下を買おうかと選ぶのが楽しくなってきます。
"もったいない"が生んだブランド
「靴下の注文を受ける工場では大量の糸が必ず残ります。本来は廃棄するのですが、それらを7〜8種類ずつ組み合わせ、小ロットで編むことにしました」。日本のアパレル業界で廃棄される量は年間100万トンにもなるそう。ものづくりの現場を知る2人だからこそ、産業廃棄物の多さに胸を痛めてきたといいます。
残糸を用いる独自の製法で、自由度の高い生産を可能にするため、職人と共同で自前の工場をつくったという舜さん。生産は残糸が途切れた時点で終わるので、左右そろわず奇数枚になる製品もあります。店では「1足」だけでなく「1枚」での購入にも対応し、より遊び心のある組み合わせを楽しむことができます。
適度な厚みがクッションとなり、疲れにくいと評判のHow’s Thatの靴下。コットン素材で通気性に優れ、ムレも気になりません。大量生産ではなく、ゆっくりと時間をかけて編み上げるので、糸にかかる摩擦が少なく、触り心地もしなやかです。
作るだけではなく、伝えたい
育ってきた奈良を出てみて、靴下の製法が知られていないことに驚いたという綾部さん夫妻。「新しい製品を作りたいというより、知ってもらえたらという気持ちがあります。福岡は住みやすく、空気がよい所。僕たちにとっては当たりまえのことも、新鮮に受け止めてくれる」と、この地に出店した理由を話してくれました。
製造過程で出る端材で座布団やコースターなどを作るワークショップも開き、福岡市内の学校に講師として招かれることも。「一緒に手を動かしながら、奈良の靴下文化と環境問題に目を向けてもらう機会になれば」と、出張依頼も受け付けています。
店舗名 | How's That(ハウズザット) |
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住所 | 福岡市中央区六本松1-4-11 MM202 |
営業時間 | 11:00〜18:00(不定休) |
公式サイト | How’s That |