まわりのみんなを食で支えたい 福岡・新天町に味噌汁専門店を出した社長の思い
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福岡市・天神の新天町商店街にできた味噌汁専門店「味噌汁おとら」が人気です。衣料品店を展開する「トラヤチェーン」(福岡市)が店舗を改装して2020年6月にオープンしました。衣料品店がなぜ? 取材すると、社長の温かい思いがありました。
食べ応え十分の豚汁
「味噌汁おとら」は、新天町商店街の北通りを西鉄福岡(天神)駅側から入ってすぐの場所にあります。洋服や雑貨などを扱うトラヤチェーンの「anneau(アノー)」が2月末まで営業していましたが、厨房を新設して6月7日に生まれ変わりました。
一番人気は「豚汁」(税込み750円)とのこと。大きくカットされた大根やニンジン、豚肉などが入り、食べ応え十分です。注文を受けてから味噌を溶くので提供まで6分ほどかかります。手間をかけても、できたてを食べてほしいとの心遣いからです。
豚汁以外の味噌汁メニューは季節によって変わり、常に3~4種類が用意されています。白米か玄米を選べるおにぎりと小鉢のセット(税込み900~1000円)もあり、おなかが満たされます。
栄養バランスがとれた食事を求め、ランチタイムは会社員のグループ、夕方から夜にかけては学生や単身赴任の男性らが訪れるそうです。
栄養ある食事でみんなを支えたい
福岡では数少ない味噌汁の専門店。なぜ、衣料品店を展開する会社が出店したのか、その理由を取材しました。
「構想は30年前からありました。『やるなら今しかない』と大きな決断をしました」。そう語るのは、トラヤチェーンの野口恭江社長です。きっかけは、次々と体調を崩していく従業員たちの姿を目の当たりにしたことでした。
「アパレル業界は立ちっぱなしだったり、重い荷物を持ったりと体力勝負。帰る時間も遅いから、きちんとした食事をとれる場所も少なかった」と振り返ります。お菓子で空腹をごまかす従業員もおり、「栄養のある食事ができる場所が必要」と強く感じていたといいます。
自身も10年ほど前に体調を崩しました。「やはり食生活は重要」と痛感し、健康のために発酵食品を食べるようになったそう。味噌汁に着目したのはその頃です。
「それまではきちんと作ったことはなかったですが、いざ作り始めると、いろんな具材を入れてアレンジできる。こんなに便利なものはありません」
「アノー」は長年愛された店で、閉店は断腸の思いでした。しかし、厨房を置けるのは同店だけという事情もあり、改装を決断しました。「野菜不足を感じたとき、温かいものが食べたいときにふらっと入れるような、日常に根ざした場所になってほしい」と語ります。
食材、器に地元へのこだわり
「九州のものを使う」。店には、そんな野口社長のこだわりが詰まっています。味噌は大分県日田市の老舗「日田醤油」のものを使い、米は福岡市内産です。国産にこだわる具材も、可能な限り九州産を使うようにしているそうです。
器は小石原焼。産地の福岡県東峰村へ足を運び、店の雰囲気に合うものを探し求めたといいます。味噌汁のお椀の色も特注です。野口社長は「アパレルの会社の飲食店だから、色やコーディネートにはしっかりこだわりました」と笑顔を見せました。
店名 | 味噌汁おとら |
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営業時間 | ランチタイム 11:00~15:00 ディナータイム 17:00~20:00 |
定休日 | 水曜日 |
所在地 | 福岡市中央区天神2-9-109 新天町北通り |