「竹炭かりんとう」で放置竹林問題を啓発! 学生らが商品化

竹炭パウダーを活用したかりんとう「JET BLACK」

 放置竹林問題の啓発につなげようと、北九州市内の大学や菓子メーカー、航空会社などが、竹炭を活用したかりんとう「JET BLACK」を商品化した。問題意識を全国に広げたいとして10月下旬から北九州空港などで販売しており、関係者は「北九州の定番土産となり、商品を通して多くの人に竹害を知ってもらえれば」と期待している。

地域の課題を食で解決

 商品化に取り組んだのは、九州栄養福祉大と菓子製造会社「しんこう」、航空会社「スターフライヤー」(いずれも北九州市)のほか、ケーブルテレビ大手「JCOM」(東京)の4者。学生が「北九州市の課題を食で解決する」をテーマに様々な問題を調べる中で、放置竹林を取り上げることにした。

 市農林課によると、市内では竹林の9割にあたる約1700ヘクタールが放置されているとみられている。竹は繁殖力が強く、他の植物を枯らして生態系の多様さを失わせる恐れがあるという。

 こうした竹害は北九州市だけにとどまらない。林野庁によると、日用品などの材料として使われていた竹がプラスチックに代替されたことなどから、竹林が放置され、他の森林や畑を侵食するといった問題が全国的に起きている。

めんたい味とトマト味

 学生たちは竹炭を食品に利用する方法を模索し、軽くて日持ちする点が土産品に適していることから、かりんとうを思いついた。2024年4月から商品化に乗り出し、市内で竹林整備などに取り組む団体から竹炭パウダーを調達するようにした。

 多彩な味のかりんとうが人気の「菓匠きくたろう」を運営するしんこうに協力を依頼し、生地に練り込むパウダーの量などを試しながら、ドライトマトと明太子の2種類の味を完成させた。パッケージのデザインはスターフライヤーが監修し、JCOMがPRなどで協力した。


武内市長(左)に竹炭かりんとうを紹介する九州栄養福祉大の学生たち

 10月下旬、学生たちが市役所を訪れ、武内和久市長に完成を報告した。試食した武内市長は「おつまみにもおやつにもなる。社会課題をチャンスに変える発想と行動力が素晴らしい」と語った。

 1袋200円(税込み)で、北九州空港や「きくたろう」の一部店舗で販売されている。3年の西田みこさん(21)は「かりんとうを手に取って竹害を知り、解決に向けて貢献したいと思う人がいたらうれしい」と話している。


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