プロ野球・楽天投手から古賀市の職員に 「古里の応援に恩返しを」

工事現場で作業を確認する井手さん(右)

 プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスの元投手・井手亮太郎さんが、生まれ育った福岡県古賀市で市の職員として新たな道を歩み始めました。担当は、道路や河川の管理。市民の安全な生活を守ることで、現役時代に応援してくれた古里へ恩返ししたいと考えています。


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楽天の育成1位でプロへ

 小学2年で野球を始め、九産大九州高から九産大へ。右のサイドからの速球を武器に、1年生で全日本大学野球選手権に出場。日本代表候補にも選ばれ、現在オリックスの主砲として活躍する吉田正尚選手、ソフトバンクの高橋礼投手らと合宿をともにしました。2年時の選手権でも前年優勝の東海大を相手に好投し、注目されます。


2017年のファン感謝祭で(後列、左から2人目)

 3年以降は制球に苦しんで登板機会が減ったものの、球速を151キロまで伸ばし、2017年のドラフト会議で楽天から育成1位で指名されます。
 「自分のボールを投げられれば通用する」。ソフトバンクの本拠地で凱旋登板する自身の姿を思い描き、所属した少年野球チームや高校の恩師、チームメイトらに送り出され、プロの世界に飛び込みました。

戦力外通告、失意の帰郷

 春季キャンプ後の練習試合では中継ぎで1イニングを無失点に抑え、自信を付けます。しかし翌日、肘にひっかかりを感じ、関節の軟骨片を除去する手術を受けることに。復活を期したものの、フォームを崩して球速は20キロも落ち、一軍のマウンドに立てないまま2年目の2019年秋に戦力外通告が待っていました。


現在の職場でパソコンに向かう井手さん(提供:古賀市)

 古賀に戻り、スポーツジムでアルバイトをしていた時、市役所に勤める知人から勧められて市の会計年度任用職員に応募。7月から建設課で道路や河川の管理を担当しています。道路の陥没、雑草の繁茂といった連絡が入れば、公用車で現場に駆け付けて対処します。12月には初めて、工事の入札も経験しました。


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正職員をめざして再挑戦

 「古里の道路や川を守るということは、自分を育て、応援してくれた人たちが安全に暮らせるということ」。働き始めてそう気付き、市の正職員を目指すことを決意します。9月に受けた来年度の採用試験は不合格でしたが、フルタイムで働きながら再挑戦するつもりです。


働きながら正職員を目指す

 「野球で味わった苦しさに比べれば、どんなことにも耐えられる。一流の選手から学んだ準備することの大切さを、これからに生かしていきたい」。わがまちへの感謝を糧に、奮闘が続きます。

セカンドキャリア「野球以外」は15.7%
 日本プロ野球選手会などは、引退後のセカンドキャリアの支援に力を入れている。日本野球機構(NPB)によると、井手さんと同じ2019年に戦力外通告を受けたり、引退したりした127人(平均年齢28.2歳)のうち、野球から離れて就職・進学したのは20人(15.7%)だった。
 NPBが同年秋に行った調査では、現役選手の約半数が、引退後の収入や進路に「不安がある」と答えたが、引退後の進路を「考えている」のは1割程度にとどまった。引退後に「やってみたい」仕事は「会社経営者(独立・起業)」が21.4%で最多。「警察官や市役所職員などの公務員」は7.9%で10位だった。10位までの半分を、高校の指導者など野球関係が占めた。


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