地域色あふれる「マンホール」 蓋がグッズや観光資源に
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記事 INDEX
- 「マンホールフェス」盛況!
- 多様な楽しみで人気が過熱
- ユニークな蓋で観光客増加
地域色豊かなマンホールの蓋の人気が過熱している。愛好家は「マンホーラー」と呼ばれ、実物を見るだけでは飽き足らない人に向けたグッズも多彩。観光資源としても期待が高まっている。
「マンホールフェス」盛況!
恐竜フクイラプトルの座布団(福井県勝山市、1980円)、工芸品「鬼凧(おんだこ)」の缶バッジ(長崎県壱岐市、424円)、高崎山の猿の文鎮(大分市、1980円)――。
福岡市博多区のハンズ博多店で4月2日まで約1か月間開催された「マンホールフェス」。販売された約900種類のグッズのデザインがどれも円いのは、全国各地に設置されたマンホールの蓋をモチーフにしているからだ。連日多くの客でにぎわい、会場を訪れた同市の女性(26)は「地域の特徴が生かされたデザインが面白い」と目を輝かせていた。
多様な楽しみで人気が過熱
マンホールが注目されるようになったのは10年ほど前。名所や歴史をデザインした蓋を題材にした「マンホールカード」が次々に登場し、自治体などが配布して人気が広がった。
さらにファンを増やしたのがコロナ禍で、マンホーラーでつくる団体「マンホール探検隊九州支部」の支部長を務める松永昭吾・横浜国立大客員教授(福岡市)によると、「密」を避けられるレジャーとして、散策しながら蓋を撮影してSNSに投稿する人が急増。「蓋に墨を塗って“拓本”を作ったり(自治体の許可が必要)、ふるさと納税の返礼品となっている現物を入手したりと、楽しみ方も多様になった」と説明する。
ユニークな蓋で観光客増加
日之出水道機器(福岡市)など蓋を製造する18社でつくる「日本グラウンドマンホール工業会」によると、福岡県内には約60万7500枚が設置されている。人気に着目し、ユニークな蓋で観光客増加を狙う自治体も多い。
北九州市では、市出身の漫画家松本零士さん(2023年死去)の人気キャラクターを描いた蓋9枚が市中心部に敷設され、マップ8000枚以上を配布。福岡市は市内に約15万枚ある蓋のうち51枚にハート形をしのばせ、写真集を市のサイトに載せる。
ほかにも、海と松のコントラストが美しい三里松原(岡垣町)、桜が舞う竪坑櫓(志免町)、久留米絣とブドウ(広川町)など魅力的な蓋が各地にある。一方、中間市は地場企業の広告をデザインした蓋を設け、3年間で約500万円の広告収入を得た。
蓋の広報効果「まずまず」
九州産業大の佐藤忠文研究室は、マンホールの広報効果を研究。北九州市と佐賀市の4か所で行った21、22年度の実地調査では、通行人約8700人の約1割が蓋を観察したり、撮影したりするなどの視認行動を示したとする結果をまとめた。
西南学院大4年の三渕涼菜さんは、蓋を活用すれば地域の回遊性が高まり、街おこしにも効果があるとする研究を発表。「蓋で自治体の“推し”が一目で分かる。すぐ見に行ける手軽さも魅力」とする。
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