段ボールでハンガー 行橋の会社、リサイクル促進へ

 福岡県行橋市の段ボール製造会社が、クリーニング工場で使用できる段ボール製のワイシャツ用ハンガーを開発し、県内の工場で採用されている。従来のプラスチック製ハンガーは4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」で排出抑制が求められており、段ボールへの移行でリサイクルの促進が期待できる。業界初の取り組みという。

業界初の取り組み

 開発したのは、「大国段ボール工業」。大きさは縦22センチ、横26.7センチ、厚さ0.3センチ、重量は15グラム。横と縦にそれぞれ強い二つのパーツを組み合わせることで、耐久性を確保した。素材は100%段ボールで、特許申請中だ。


完成した段ボール製のハンガーを手に取る寺沢会長(右)と毛利経営企画室長


 同社は「段ボールの特徴を生かした仕事をしたい」と、県リサイクル総合研究事業化センター(リ総研、北九州市)に相談。県内でクリーニング店「そらいろクリーニングファクトリー」などを経営する「アルサ」(福岡市)がリサイクルを進めたい意向をリ総研に伝えたことから、リ総研が両者をマッチングした。

 開発は2月に始まり、特に使用頻度の高い、ワイシャツ用のハンガーを作ることで合意。機械化されたクリーニング工場でも使用できる製品を目指し、8回ほど試作を繰り返し、10月に製品が完成した。

「他の衣類用も」

 11月から工場での使用が始まっており、大国段ボール工業の寺沢一光会長は「通常のハンガーの形状をまねしたが、耐久性が足りず、今の形になった。次は他の衣類用ハンガーに挑戦したい」と意気込む。現状はプラスチック製の2倍程度のコストが必要といい、コスト削減にも取り組む。

 プラスチック製ハンガーは、プラスチック資源循環促進法で排出抑制が求められる特定プラスチック使用製品(12品目)の一つとされた。

 アルサでは、年約2万本、420キロのハンガーを使用しており、利用者に店頭で回収を呼びかけ、リサイクルにつなげたい考えだ。毛利明光・経営企画室長は「同業他社にも参加を呼びかけたい」としている。


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