福岡県は、学校でのいじめに悩む児童生徒やその保護者を支援する「県いじめレスキューセンター」を11月1日に開設する。相談だけでなく、いじめの解消に向けた学校との調整なども行う。学校や教育委員会とは異なる部署で運営し、学校に相談しにくいケースにも対応することで、いじめの長期化、重大化の防止に取り組む。
相談から解消まで関与「長期化、重大化防ぐ」
学校でのいじめを巡っては、学校と当事者の児童生徒との間で協議が難航し、問題が長期化したり、学校に相談するのをためらったりするケースが指摘されている。
文部科学省のまとめでは、2022年度に県内で確認されたいじめは約1万6600件。5年前の約8900件から約1.8倍と大幅に増加している。また、子どもの生命や身体などに重大な被害が生じたり、長期間にわたって不登校になったりした「重大事態」は全国で923件発生。うち約4割は学校が、いじめと認知していなかった。
県によると、センター開設はこども家庭庁のモデル事業で、都道府県では福岡のみ。事業費の約840万円は、全額が国からの委託費で、9月補正予算に計上している。
学校に相談しにくいケースにも対応
対象は県内の小中高校生とその保護者。吉塚合同庁舎(福岡市博多区)に設置し、常駐の社会福祉士や精神保健福祉士ら3人ほどが相談に応じる。希望があれば、センターが学校と今後の対応などを協議し、その3か月後をめどに改善状況などを尋ねるフォローアップを行う。必要に応じて、センターに弁護士も助言する。
開設時間は平日と日曜の午前10時~午後6時(祝日と年末年始を除く)。相談は電話、メール、面接で行う。
服部知事は定例記者会見で、「いじめの相談から解消まで関与する仕組みになっている。学校外の立場で、専門家の知見を生かしながら、いじめの長期化、重大化を防いでいきたい」と話した。
相談や問い合わせはセンター(092-645-2567)へ。